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バイクにパワーフィルターは必要か?【メリット・デメリットを解説】実はスゴイ純正エアクリーナーBOX

バイクのエアクリーナーをパワーフィルターに付け替えると確かにパワーアップします。しかしそれは、吸気管長の短縮および吸気径拡大によってトルクバンドが高回転側へシフトしただけです。

そのため安易にパワーフィルターへと変更すると低速トルクが低下。高回転まで回すのならともかく、街乗りをするぶんにはエアクリーナーボックスのほうが明らかに有用でしょう。

バイク購入時に付いてたパワーフィルターを純正エアクリーナーボックスへと戻すとどのように変化するかを実例をもって解説します。

目次

 

パワーフィルターは必要か?

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 自動車界隈では俗に毒キノコなどと呼ばれるむき出し型のエアクリーナーは、吸気面積を増やし、吸気抵抗を減らしてパワーを出しやすくするエンジンカスタムの定番アイテムです。とくにバイク用の剥き出しエアクリーナーは『パワーフィルター』などとも呼ばれます。

吸気抵抗が減れば、エンジン吸気工程での機械ロスが減るためパワーアップにつながります。純正エアクリーナーボックスでは吸気量が足りない、あるいはサーキットなどで高回転域を多用するのであればパワーフィルターは有用なパーツです。

ただし相応のデメリットも存在します。

 

パワーフィルターに交換するメリット

【メリット1】パワーアップ

吸気管が短く、フィルターの目が荒いエアクリーナーに交換するほど吸気抵抗を低減できます。

ろ紙などを使用する純正フィルターの多くは、面積あたりの通気量が少なく吸気抵抗が大きく、それに対してメッシュ状のパワーフィルターは遥かに吸気抵抗をが少なくなります。

吸気抵抗が減ると、エンジンの吸気工程時にピストンが下がる際の負圧抵抗も小さくなるためパワー、レスポンス共にアップさせることが可能です。

時間あたりの吸気量が増える高回転ほどその恩恵は大きく、燃調さえしっかりと取れていればパワーフィルターに交換することで大きくパワーアップすることができます。

【メリット2】音の変化

吸気音が聞こえやすくなる点もパワーフィルターに交換するメリットといえるでしょう。

ノーマルエアクリーナーボックスは吸気音を抑える構造になっているため、吸気音はほとんど聞こえません。

むき出しのパワーフィルターはエンジンの吸気音がダイレクトに聞こえるため、それだけでスポーティな雰囲気に変わります。

【メリット3】スペース確保

バイクのなかで大きな体積を占めるエアクリーナーボックスがなくなることで、空いたスペースの有効活用が可能です。加えて軽量化にも貢献します。

積載スペースが少ない原付は、小物入れなどを設置することで、わずかとはいえ積載量を増やすことができます。

 

パワーフィルターはデメリットだらけ

【デメリット1】うるさい

パワーフィルターに交換すると吸気音だけでなく、エンジンの発破音やメカニカルノイズまでが盛大に聞こえるようになります。

エアクリーナーは消音器の役割も兼ねており、パワーフィルターに交換すると吸気系等の消音性能が著しく低下するため、回転を上げると排気音以上の騒音となる場合があります。

短距離移動なら気にならなくとも、長時間にわたって運転すると音が疲労感の原因になることもあります。

【デメリット2】バイクが乗りにくくなる

パワーフィルターや直キャブは、吸気抵抗の低減によりパワーが上がるのは確かです。しかし、正確にはトルクバンドがより高回転側にシフトしただけの結果にすぎません。

そのため、発進加速が弱く感じられたり、微妙にスロットルを開けた際のトルク感に欠け、バイクが扱いづらくなるデメリットが顕著に出ます。

バイクは絶対的なパワーよりもスロットルレスポンスとコントロール性など、入力操作に対しての出力レスポンスがなによりが重要な乗り物です。

パワーフィルターに交換することでバイクの総合的な運動性能を損なう恐れがあります。また湿度などの外界環境の変化がキャブレターセッティングに影響しやすくなるデメリットもあります。

【デメリット3】ブローバイガスの排出効率が低下

パワーフィルターに交換すると、困るのがブローバイホースの設置箇所です。ブローバイホースの取付ニップルが備わるパワーフィルターならそこへ差し込めば問題はないものの、取付け箇所がないからといってエンジンから排出されるブローバイガスを大気開放するのは違法行為です。

また、ブローバイガスは吸気の負圧によって吸い出されることで排出が促されています。パワーフィルターへの交換や大気開放では、ブローバイガスを効率的に吸い出せないため、エンジンクランクケースの内圧上昇によってピストンの動きが妨げられてしまいます。

パワーフィルターへの交換は、吸気抵抗の低減によってパワーアップする一方で、ブローバイガスの排出効率が落ちることで同時にパワーロスも引き起こしているということです。

 

【万能】実はスゴイ純正エアクリーナーボックス【全天候型】

それまで付いていたパワーフィルターから、純正エアクリーナーボックスへと戻すと巡航速度で聞こえるのは「キュルルルル」という滑らかな回転音と、マフラー重低音のみ。エアクリーナーボックスが不快なメカニカルノイズをキレイに抑えてくれています。

またエアクリーナーボックスを装着したことで吸気管長が長くなったためか、アイドリングより少し上の極低回転域からトルクが増しました。発進でクラッチをラフにつないだとしてもエンストする気配がありません。街乗りでは非常に乗りやすくなります。

そのぶん、6,000rpm以上では回転上昇が鈍る感じはするものの、エンジンノイズの高まりによる心理的圧迫がないため、高回転を維持して走行することに抵抗がなくなります。

定常円旋回をしてみると、微低速でのトルクアップと、スロットルのつきがよくなっているため、より低い速度かつ小さな半径で旋回できるようになりました。姿勢を崩しても、わずかにスロットルを開ければ即トルクが立ち上がるため、姿勢を立て直すのも容易になります。

通常走行時もスロットルオフ直後に、再度スロットルを開いた際のトルクピックアップが明確に鋭くなっています。

スロットルバルブから外界までの距離が短いパワーフィルターでは、スロットルを開き続けている間は効率よく吸気できますが、一度でもスロットルを閉じると空気の流れがせき止められ、再度加速するためにスロットルを開けてもすぐには空気を吸い込んでくれません。

エアクリーナーボックスなら、スロットルバルブ手前の管内を慣性を保ち続けた空気が流れ続けるため、スロットルオン/オフ時のもたつきが軽減され、街乗りや峠道のような頻繁にスロットル操作を迫られるシーンでのドライバビリティ向上が狙えます。

また、雨天時の湿度上昇などによるキャブレターセッティングへの影響を最小限に抑えられる点もエアクリーナーボックスのメリットです。

これらの結果から、街乗りにおいてはパワーフィルターを装着するメリットはないと個人的には判断します。

 

エイプを純正エアクリーナーボックスへ戻す際の注意点

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パワーフィルターはデメリットの方が大きいため、用途が明確でない限りおすすめできません。
程度のよい中古品が手に入ったため、購入時に付いていた武川製のパワーフィルターは取り払い、ノーマルエアクリーナーボックスに交換します。

ヤフオクで購入したのは100ccタイプD用のエアクリーナーボックス。送料無料で3,200円でした。難なく取りつけて完了と思いきや、なかなかフレームのなかに入っていきません。アッチを入れればコッチが入らず、コッチを入れればアッチが入らない知恵の輪状態です。

落ち着いてよく見てみると、エアクリーナーボックスの上についている「くの字形」の金具が邪魔している模様。これがちょうどフレーム側のレギュレーターステーにあたって取りつけできない模様です。仕方がないので手で折り曲げるも、厚手のスチール製で硬く、なかなか曲がらりません。なんとか取りつけできる位置まで力づくで曲げて、ようやく取り付けできました。

このボックス上部にある「くの字」型のステーは、環境性能を向上させるための装置を取付けるためのステーのようです。

 

コネクティングパイプの長さにも注意!

エアクリーナーボックス自体の取付けはできたものの、今度はコネクティングパイプが短くてキャブレターまで届きません。

購入したのは100cc用エアクリーナーボックスであり、エイプ100はキャブレターが大きいぶん、コネクティングパイプが短く設計されているため、単純に流用はできません。

さしあたり、これまで付いていた武川製パワーフィルターのパイプを流用すると、少々短いながらもなんとか届きます。

エイプのコネクションパイプの長さは、50cc用>武川パワーフィルター>100cc用の順になります。パーツを購入する際は、エンジン仕様や年式などを確認し、しっかりと適合するものを選ぶことが大切です。

 

エアクリーナーボックスのままでもパワーアップはできる

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ボアアップエンジンやチューニングエンジンでは純正エアクリーナーボックスに戻すと吸気量が足りずにパワーダウンが顕著になる場合があります。

純正インレットの入り口部分は十分な吸気口径が確保されていますが、奥側が小指大にまで絞り込まれており、この部分が効率的な吸気を抑制しています。

その場合はエアクリーナーボックス上部のインレット(空気取り込み口)をカッターなどで削って拡大してやることで吸気量が確保できます。

インレット自体を取り外したり、より吸気口が広く確保されたホンダ XR100用のインレットに交換するなどの手法もありますが、吸気管長の短縮や吸気管内径が大きくなることでわずかにパワーバンドが高回転寄りに変化するのは避けられません。

吸気効率に優れる順番で並べると以下のようになります。

  1. インレットなし(もっとも吸気効率が高い)
  2. XR100純正インレットの流用
  3. インレットあり
  4. インレット加工
  5. ノーマルインレット(もっとも吸気効率が低い)

エンジンのチューニング度合いやバイクの使用環境、求める性能に応じて選び分けるとよいでしょう。

 

パワーフィルターよりも純正交換タイプのほうがメリット大

それでも吸気量が足りないようであれば純正交換タイプのエアクリーナーエレメントに交換しましょう。これでエアクリーナーボックスのメリットを活かしたまま吸気効率を高めることができます。

古い年式のエイプなら純正エアクリーナーエレメントのフィルター部分だけを交換できるため、ローコストで交換可能(高年式のエイプはフィルターの仕様が異なりフィルターのみの交換は不可)。

目が荒いフィルターほど吸気抵抗が減るためパワーアップし、目が細かいフィルターほど吸気ロスが増える代わりにエンジンの保護性能が高まります。

ただし、エイプの純正エアクリーナーエレメントは基部の部分が吸気抵抗が大きい構造をしており、フィルター交換のみでの吸気抵抗の低減には限界があります。

そのためエイプのエアクリーナーエレメントは、本体そのものを交換することをおすすめします。

↓高年式エイプ向け不織布フィルター(分解不可)

↓低年式エイプ純正交換用フィルター

エイプは、前述したようにエアクリーナーエレメントの交換でのパワーアップには限界があります。また、パワーフィルターに比べてエレメントの選択肢が限られる点もエアクリーナーボックスのデメリットです。

以下の記事では、本来剥き出しにか付けられないラムエアフィルターをエアクリーナーボックス内に収めるための手順を解説しています。これにより静粛性もさらに向上しました。

 

低抵抗のエアフィルターは、吸気管内の負圧を低下させ、ブローバイガスの排出効率低下を招く恐れがあります。

ブローバイガスが効率的に排出されないと、高くなったクランクケース内圧がエンジン内部で抵抗となりパワーロスを招きます。

むき出しのパワーフィルターは高回転域でパワーアップする一方で、同時にブローバイガスの排出効率が落ちることで高回転域でパワーロスを起こしている場合があります。

 

↓以下はブローバイガスの排出効率を高める方法についての記事です。

↓ハンドルの振動対策にはこちらも有効。バーエンドはハンドルの材質や震え方によって取り付け方を変えてやるやることが肝心です。

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