チェーンコンバートのメリットとデメリットを理解したうえで、エイプのチェーンをダウンコンバートするための算段を立てます。
ディスクブレーキのエイプなら、手軽に駆動系を軽量化できます。ただし調査の結果、ドラムブレーキ車はそう簡単にチェーンコンバートができないことがわかりました。
エイプは415サイズでパフォーマンスアップ
エイプは420規格のチェーンが純正装着されているため、ダウンコンバートによる軽量化の恩恵をうけるには、415サイズのチェーンを選択します。
チェーンピッチは同じ「4(12.7mm)」であるため、コマ数は変わらずチェーンの幅とスプロケットの厚さだけが15幅に変わり、リンク内側の幅は6.35mmー4.76mm=1.59mm狭くなります。
どれくらい軽くなる?
各パーツの重量を比較して、どれくらい軽くなるかをシミュレーションします。
- 某メーカー420サイズシールチェーン104リンクの重量は888g(110リンクは957g)→同メーカー415サイズシールチェーン104リンクの重量は740g(110リンクは782g)
- ドライブスプロケットはT16の場合150g→132g
- ドリブンスプロケットは31Tの場合は426g→364g
※アマゾンの商品重量を参考
420から415チェーンへコンバートすることで、おおよそ220g前後の軽量化になるようです。
回転物であるうえ、アンダーパワーなエイプは数値以上の体感ができると思われます。しかし、もともと細いチェーンを装着しているため劇的な変化とはいかな模様です。
ちなみに、駆動系で220gの軽くなるのはフライホイールの軽量化で考えると、インナーローターに交換するより少し重いくらいです。
アルミ製のドリブンスプロケットなどに交換すればもう少し軽くなります。
エイプはチェーンコンバートができない!?
エイプのディスクブレーキ車はドリブンスプロケットが一般的なナット止めであるため、他のバイクと同じように合計1万円程度の費用で問題なく415チェーンにコンバートできます。
しかし、ドラムブレーキ車は突起付きの特殊なドリブンスプロケットが使用されています。この特殊なピン付きスプロケットはホンダの古い車種で用いられる形式のようで、415サイズが非常に手に入りづらいのが問題です。
このピン付きドリブンスプロケットが使われているのは、CB50JXやジャズ、マグナ50やダックスなどの70〜80年代のホンダ車。
純正流用どころか、各車のアフターパーツでもドラムブレーキ用の415ドリブンスプロケットは販売されていませんでした。
ドラムブレーキ車は特注スプロケットor競技用スプロケット
ようやく見つけたドラムブレーキに装着できそうな415サイズのドリブンスプロケットは以下のふたつだけでした。
その1.『X.A.M.』特注スプロケット
創業1986年のスプロケットメーカー『X.A.M.(ザム)』では、特注スプロケットの作成を受付けています。
料金は材料費(4,100円)+加工費(6,500円)+『ピン付きの場合は別途料金』=最低でも10,600円。別料金で表面加工処理もしてくれます。アルミ製です。
https://www.xam-japan.co.jp/sp-top/sp-special/
その2.『OSAKI RACING』競技用スプロケット
タイのチェーンメーカー『OSAKI RACING(オーサキ・レーシング)』で販売しているドラムブレーキ用スプロケットが415サイズをラインナップしています。スプロケットの歯数も各種用意されています。
ただし、入手経路は現時点でヤフオクしか見つけられませんでした。材質はメッキ加工されたスチールながら、競技用部品として販売されています。価格は送料込みで3,000円弱です。
エイプのチェーンコンバート計画は断念
スチールに比べて摩耗が早いとされるアルミスプロケットは、415チェーンコンバートで交換頻度が高まることが予想されます。そのたびに特注代の1万円は支払えません。
オーサキレーシングのスプロケットはスチール製で安価であるものの、競技用部品であることに加えて得体の知れないメーカー品であるため、駆動系に使うのは気が引けます。
エイプのドラムブレーキ車のチェーンコンバートは、恩恵が少ないうえにリスクが大きすぎます。よって415チェーンへのダウンコンバート計画は泣く泣く断念いたします。
エイプやその他ドラムブレーキ車のチェーンコンバートをご検討の方は、ぜひご参考にしてくださいませ。
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