バイクに乗るうえで欠かせないのが定期的なチェーン清掃。バイク初心者はそこで疑問に思います。「どこまでキレイにすればよいのか?」。チェーン清掃の方法は多くのサイトで解説されていますが、キレイにすることばかりにこだわって、どうも本質を得ていないように思えてなりません。実体験をもとにチェーン清掃の目的を見直します。
- チェーン清掃をする目的
- パワーロスを防ぐにはチェーンローラーの動きが肝心
- どれくらいパワーロスする?
- パワーロスを防ぐチェーン掃除のしかた【ノンシールチェーン】
- チェーングリス・チェーンオイルの塗布し忘れ箇所に注意
- まとめ
チェーン清掃をする目的
チェーン清掃をする目的は、新品時の状態をできる限り保つことが目的です。それには「見た目をキレイに保つ」ことと「性能を維持すること」が含まれます。
見た目がキレイに保たれていたとしても、チェーンがスムーズに動かなければパワーをロスしていしまいます。とくに、パワーが少ない小排気量エンジンであるほど、駆動ロスによるパワーダウンは顕著に現れます。
パワーロスを防ぐにはチェーンローラーの動きが肝心
チェーンを構成するなかでも、とくに劣化による駆動ロスの影響が大きいのは、ローラー部分の動きです。チェーンを長く使うと、ローラーの軸部分に砂やホコリが入り込み、動きが悪くなってきます。
このローラー部分をスムーズに動くようにしてやるのが、パワーロスを防ぐチェーン清掃のもっとも肝心な部分です。
どれくらいパワーロスする?
ホンダ エイプ50を用いた実体験では、およそチェーンの1/4〜1/3の範囲にわたって、ローラーの動きが渋くなっている状態で、最高速度が5〜10km/hダウンすることが確認できました。
しかし、低いギアを選択している状態ではタイヤに伝わるトルク大きいため、ほとんど気付くことができません。5速(オーバードライブギア)での巡航で、ようやく感じられる程度のわずかなパワーロスですが、ただでさえ少ないエンジンパワーをムダに捨てていることは事実です。
パワーロスを防ぐチェーン掃除のしかた【ノンシールチェーン】
汚れやオイル、グリスを落とした状態で、ブラシで軽くこすって惰性でローラーが回り続ける状態がベストな状態です。動きが悪い箇所は、チェーンクリーナーの噴射圧で軸に噛みこんだ砂やホコリを取り除きつつ、指で1個1個を回してスームズに動くまで繰り返すとスムーズに動くようになります。
一度はスムーズに動くようになっても、チェーンが一周すると再び動きが悪くなる場合もありますので、丹念に手入れをしましょう。
パワーロスがある代わりにメンテナンスフリー【シールチェーン】
チェーンの軸回りにゴムシールを配置することで、ゴミの侵入を防ぐように処理されたものは「シールチェーン」と呼ばれます。メンテナンスフリーであるかわりに、可動部分にゴムのテンションが常にかかるため、パワーロスが大きいのが特徴です。丁寧にチェーン掃除をするのは時間がかかるため、エンジンパワーに余裕があるのであれば、シールチェーンの方が絶対的に有用です。
チェーングリス・チェーンオイルの塗布し忘れ箇所に注意
最後にチェーングリス・チェーンオイルを軸部に塗布します。グリスやオイルは、軸とローラーの隙間に入り込みやすい浸透性の製品がおすすめです。塗布し忘れ箇所があると、チェーンの軸とローラーの金属面が接触し、大きな摩擦抵抗が生まれてしまうため、やはりパワーロスになります。
そして、チェーンが特定の状態になったときに異音が発生します。結構大きな音で「バチン」と鳴ります。異音がする場合は、塗布し忘れ箇所を探しましょう。こういうときには塗布した部分と、塗布し忘れた部分がわかりやすい目立つ色のグリスが便利です。
グリス塗布後は時間をおく
注油後は、グリスやオイルがしっかり浸透するまでバイクは動かさない方がよいでしょう。ある程度手で押して浸透を促して(必要に応じて再注油)からはバイクを動かさず放置。私が使っているヤマハ ヤマルーブ スーパーチェーンオイル(ウェットムースタイプ)はグリスの粘度が高い割に浸透性が高い商品です。
塗布後は30分放置するように指示されていますが、最低数時間から1日は放置したほうがバイクを手押しした際にスムーズに動くような気がします。※これに関しては感覚的なもので根拠はありません。
まとめ
ノンシールチェーンのチェーン清掃は、外観をキレイに保つことやサビを防ぐことに加えてローラーがスムーズに動くように維持することが大切です。とくにパワーに余裕のない50ccエンジンの場合は、せっかくエンジンまわりをチューニングしても、駆動系のメンテナンス次第で性能が大きくスポイルされてしまいます。
原付の性能をベストな状態に保ち続けるの難しいことがわかりました。しかし、それが原付の面白いところでもあると実感しました
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