チョークバタフライを撤去した結果をお伝えします。エンジンの始動を助けるチョークバタフライは、裏を返せば吸気抵抗の元凶です。
キャブレターのチョークを引かなくともエンジンが始動できるなら、チョークはただの吸気抵抗にしかなりません。吸気抵抗となるチョークバタフライを取っ払ってパワーアップしたレポートです。
目次
キャブレターのチョークとは
キャブレターにおけるチョークとは、エンジン始動を助けるための機構。chokeの名が示すとおり、空気の流入経路を絞ることで燃料を増量させ、始動に最適な空燃費に調整する手動式可変燃調システムです。
チョーク機構は、空気の流入経路を塞ぐためにスロットル径と同径のバタフライバルブを備えており、平時は水平になることで吸気抵抗を最小限におさえているものの吸気抵抗には違いありません。
とくにキャブレター径が小さなエイプにおいて、チョークバタフライは口径面積の1/3近くを占める大きな障害物です。
吸気有効面積を阻害するうえ、スロットル直前で乱気流が発生しては、吸気効率など望むべくもありません。
PB14のチョーク外し
エイプの純正キャブレターであるPB14およびPB16のチョークバタフライは、キャブレターの入り口付近で横から貫通するようにシャフトが通り、スロットルバタフライとなる板がビス1本で留められているだけです。
ビス留め箇所はキャブレターの吸気側からすぐの位置にあるため、ドライバー1本あればチョークバタフライを外すことができます。
シャフトを残しておけば出先でエンジン始動が困難になっても、ドライバーとバタフライとネジを所持していれば容易に元に戻すことができます。吸気効率を優先するならばシャフトも外してしまいましょう。
プラスチックキャップがあるとはいえシャフトを外しただけでは、そこからエアクリーナーを通さない二次吸気が懸念されます。
空いた穴にはシャフトの代わりに、水道修理用シールテープなどを巻いた同径のネジ挿し込んでおけばOKです。
【インプレッション】チョーク撤去でパワーアップを体感
チョークバタフライのシャフトは残してあります。それでもエイプ50が激変しました。走り始めから車体が軽く感じられ、トルク向上がハッキリと体感できます。
その激変振りとは裏腹に、最高速は期待したほど伸びず+5km/hほどにとどまる結果。しかしロングなギア比にも関わらず、5速でレブリミット8,000rpmまでしっかり吹けきるようになりました。
全域でトルクアップしているものの、とくに5,000rpm以下でのトルクアップが顕著であるため、相対的に高回転の伸びがもの足りなく感じられます。
キャブ径による絶対的な吸気量上限は変わらないようです。もしくは、純正カムシャフトの特性がより忠実に現れているのかもしれません。
チョーク撤去は自己責任で
チョークバタフライ撤去は、キャブレター径の小さなバイクのパワーアップに効果的です。
しかし、チョークは必要があって付いているのであって、取り払うからにはエンジン始動が困難になるリスクを背負わなければなりません。
利便性を削ってパワーアップさせる「チョーク撤去」より、コストを支払って利便性とパワーを両立させる「キャブレター交換」のほうが得策でしょう。
チューニングとはパラメーターのトレードオフ。その意味はあくまで「調整」と「調律」です。
↓もちろん、車両の状態によってはキャブレターのリセッティングも必要になります。
↓費用をかけずに、吸気効率&パワーアップを図るならキャブレター加工もおすすめです。
↓ブローバイ経路を見直すことでもパワーアップが可能です。