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意外なアレでバイクの乗り心地を改善【0円でサスペンションカスタム】自作スプリングシートの作り方

どのご家庭にもある意外なアレを使ってバイクの乗り心地をよくすることができます。

加工に少々手間がかかるものの、かかる費用はほぼ0円。乗り心地を向上させるだけでなく、車高調ならプリロード調整もしやすくなる一石二鳥のアレの作り方です。

目次

 

サスペンションがスムーズに動けば乗り心地は良くなる

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乗り心地をよくするには、サスペンションの抵抗を少なくしてよく動くようにしてやることが大切です。

サスペンションの摺動抵抗を低減する方法には、サスペンションピボットなどにグリスを塗布する方法や摺動部のベアリング化のほかに、スプリングが伸縮する際に発生する回転運動をスムーズにしてやる方法があります。

コイル状に巻かれたスプリングは伸縮すると回転運動をします。しかし、荷重がかかった状態では、座面となるスプリングシートに押さえつけられることで発生する摩擦抵抗により回転運動が阻害されます。

回転運動のエネルギーが摩擦抵抗を超えると、サスペンションは急に動き出すため、状態によってはバネレートが変化しているように感じたり、サスペンションの動き出しだけが渋く感じたり、異音が発生したりします。

 

リアスプリングをより動かすようにするには

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スプリングとスプリングシートとの回転時の摩擦抵抗を低減するにはスラストベアリングの組み込みが効果的です。

ただし、密閉空間のフロントフォークならともかく、汚れやすいリアサスペンションはベアリングの機能低下が著しく、キレイな路面を走るサーキットでなければリアサスペンションへスラストベアリングを組み込む方法は原則として使えません。

そのため、耐久性を維持しつつリアサスペンションの伸縮性を高めるには、グリスを用いずとも滑り性に優れた樹脂素材をスプリングとスプリングシートに挟み込んでやる方法がもっとも有効です。

オーリンズなどには専用のテフロンシートが用意されています。また、サスペンションキットによってはナイロンなどのシートが付属している場合があります。

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滑り性に優れた樹脂シートとは

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金属面同士は強い圧力がかかると滑りにくくなります。そこへ樹脂シートを挟み込んで滑らせればスプリングを縮めるために必要な力が少なくできます。

それにより、サスペンションがよく動くようになって乗り心地がよくなるとともに、プリロードを掛けるためにスプリングシートを回すのに必要な力も少なくなるためサスペンションの調整がしやすくなるメリットがあります。

滑りやすい樹脂の代表はPTFE(テフロン)。ただし、テフロンシートは強度に劣るためワッシャで挟み込んで直接摺動面に触れないようにする必要があります。

しかし、上下2枚のワッシャを挟み込むと最低でも2.5mmほど厚さが増すため、サスペンションの座面形状によってはスプリングの座りが悪くなる恐れがあります

おまけにテフロンは、樹脂としては高価であるうえ、サスペンションの動きに耐えられる厚さのテフロンシートはなかなか手に入りづらい難点があります。

高い機械強度と滑り性を備える高分子ポリエチレンなどの樹脂も存在しますが、こちらも特殊素材で手に入れるのが大変です。

そこでおすすめするのは、同じ樹脂素材であるPET(ポリエチレンテレフタレート)です。滑り性ではテフロンに劣るものの、テフロンよりも機械強度に優れ、高い耐寒・耐水・耐油性を備える樹脂素材です。

そしてなにより、ポリエチレンテレフタレートはどこにでもあるペットボトルの原料であるため、廃棄ペットボトルからスプリングシートを切り出せばかかる費用は0円。あらためて用意したとしてもその費用はたったの100円強で済みます。

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自作ペットボトルスプリングシートの作り方

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自作ペットボトルスプリングシートは、サスペンションの上下どちらかの座面に挟み込める寸法にペットボトルから切り出すだけです。

素材としては、1.5Lの円形断面のペットボトルがもっとも適しています。やや厚みが増す(と思われる)炭酸飲料のペットボトルがベストでしょう。まずはペットボトルから平面の部分を切り出します。

スプリングシートの寸法にあわせてコンパスで円形の線(もしくはキズ)を引き、それに沿ってハサミもしくはカッターで切り出し、リングを作るだけで準備完了です。

あとは、リングをスプリングとスプリングシートの間に挟み込みましょう。ネジ式車高調ならプリロードを抜けばスプリングが外せます。

スプリングコンプレッサーを使って分解できれば、純正サスペンションにも組み込むことができます。

 

インプレッション

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先日のサスペンションセッティングでは、基準スプリング長から1mm以上のプリロードをかけると、バネの反発が強すぎて手でフックレンチが回せませんでした。

それに対し、ペットボトルスプリングシート装着後は、2mmほど締め上げてもそれほど力を必要とせずスプリングシートが回せるようになりました。

ただし、停止状態でリアサスペンションを伸縮させてもストロークが短いためか、スプリングが滑っている様子は確認できません。

しかし走行してみると、前回はプリロード1mmで明らか乗り心地が悪くなったのに対し、1.5mmのプリロードを掛けてもバネの固さが感じられません。

ペットボトルシートを挟み込むことによってスプリングが動きやすくなったため、プリロードを掛けて車両安定性を高めながら、乗り心地も維持できるようになりました。

おおよそプリロード1mmと1.5mmが同等の固さに感じられます。

劇的な変化とは言えないものの、サスペンションの動きが良くなったことが明確にわかります。

フロントフォークにスラストベアリングを仕込んだことで、相対的に気になっていたリアサスペンションの固さが緩和されたことで、前後のバランスも改善されました。

もし、樹脂シートがついていないサスペンションをお使いであれば、ペットボトルを挟み込むだけで乗り心地を向上させたり、サスペンションセッティングの幅を広げる事ができます。

 

場合によっては問題も

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削れたペットボトルがスプリングシートの縦の隙間に入り込んでいます。

タケガワサスペンション(黒バネ)のロアスプリングシートは六角ボルトロックであるため、スプリングシートに切れ込みがあります。

武川黒バネの場合、このエッジ部分によってサスペンションが動くたびに樹脂シートを削っている模様で削りカスが出ており、このままではいずれなくなるか、脱落することが予想されます。

しかし、これは樹脂シートがしっかりと機能している証拠となります。事前に付けたマーカーの位置もしっかり動いています。

ボルトロックではなく一体整形されたスプリングシートのサスペンションなら、よりスムーズにスプリングが動くようになって乗り心地が向上することでしょう。

自作スプリングシートを二重にすることで改善できそうですが、樹脂シート同士は摩擦抵抗が以外に大きいため効果が薄いかもしれません。

武川黒バネの場合、シートのエッジ部による削れを解消するには、大型の金属ワッシャを挟み込んで座面を真っ平らにしてやる必要がありそうです。

 

↓サスペンション交換の様子はこちら。交換後のインプレッションと簡易調整の様子も掲載しています。

↓フロントフォークにベアリングを組み込むと、踏切のような大きな段差での乗り心地が劇的に改善します。

↓『奇跡の潤滑剤』よ呼ばれているベルハンマーをサスペンションに塗布することでも乗り心地が改善できます。以下の記事ではサスペンションピボットやスイングアームピボットなどに塗布して、その効果を検証しています。

↓もっとも簡単に乗り心地を改善する方法は、シートとフレームの間に100円ショップの耐震ゲルマットを挟み込むことです。微細な振動や突き上げが改善され乗り心地がよくなります。

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