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エイプはリアサス交換が必須【武川(タケガワ)黒バネ車高調】レビュー・調整

タケガワリアサスペンションキットへの交換にともなう、取付け作業と乗り出しセッティングを含むパーツレビューです。

プリロードや減衰力設定ごとの乗り味の違いや、調整のしやすさなどの製品評価をまとめています。

 

エイプのサスペンション選び

カスタムパーツが豊富に出揃っているエイプは、意外にもサスペンションの選択肢が少ない難点があります。

エイプ用サスペンションキットには、安いものでは新品1万円代から。高いものではオーリンズやナイトロンなどが一通り揃っているものの、その中間ラインナップが薄いため、交換されるサスペンションはローエンドクラスかハイエンドクラスのどちらかになりがちです。

オーリンズは高価で手が出せません。かと言って安価なサスペンションはお決まりのように赤いスプリングが装備されています。

青いガソリンタンクに赤いスプリングはどうしても合わせたくないため、悩んだ末に選んだのは新品価格28,380円のタケガワの黒スプリングモデル。

このモデルは価格・調整範囲ともに、エイプ用サスペンションキットのなかでも、ちょうど中間的な性格が与えられています。

 

純正と社外サスペンションの違い

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エイプをはじめとする多くの原付の純正サスペンションは、快適性を維持するための柔らかいスプリングに、高い絶対値の減衰特性をもつダンパーを組み合わせることで安定性を保っています。

ローコストのサスペンションほどコシがないくせに、突き上げ感が強く感じられるため、安価なバイクはお世辞にも乗り心地がよくありません。

その点、社外品サスペンションはコストをある程度無視してダンパー径やオイル流路を自由に設計できるうえ、車高やプリロード、減衰力の調整機能などが備わっているため乗り心地と運動性能の両立が図りやすい特徴があります。

原付スポーツバイクに位置づけられていても、経済低迷期に生産されたエイプはコストダウンが随所に見られます。

リアサスペンションはその最たるものであり、サスペンションを交換するだけでエイプの乗り味は大きく変わります。

サスペンション交換をしてようやくエイプはバイクらしくなると言っても過言ではありません。

 

タケガワサスペンション(黒バネ)キットレビュー

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エイプ用タケガワサスペンション下位モデルの赤スプリング(以下赤バネ)に対し、上位版は黒いスプリング(以下黒バネ)を採用しています。

ボディは赤バネと同じくアルミ製ですが、表面にはアルマイト処理が施され上品な印象。各部の工作精度は高く、一寸のガタもなく取り付けられます。ほぼ同様のサスペンション機構を持つXRー50および100モタードにも適合します。

最廉価の赤バネモデルと同様に全長調整式ではあることに加え、黒バネの方には伸び側に18段減衰力調整機構が備わっています。

上部にある減衰力調整ダイヤルは減衰力にあわせて上下動するため現在のセッティングがわかりやすいのも利点です。

ダイヤルは1段づつクリック感があるダイヤル式。減衰調整ダイヤルはイモネジで固定できるようになっています。

ロアスプリングシートの調整のフック掛かりが、赤バネより多いためレンチストロークが確保しやすいのも特徴です。

ただし、ロア側のスプリングシートは一般的なダブルナットではなく六角ボルトロックとなっており、ボルトがあるフック掛かりにレンチを掛けると、ネジの頭をつぶしてしまう点には注意が必要です。そのため、特定のシート位置では極端に作業性が悪化します。

また、一定プリロード以上に調整しようとするとブレーキランプセンサのブラケットによって車高調整時のレンチストロークが規制されるのも気になる所です。

一番低めた状態でも純正と同じであるため、黒バネではローダウンカスタムはできません。赤バネであれば、純正比マイナス数mmほど短くできるそうです。

 

取り付け

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出荷状態のスプリング長はバネのヘタリを防ぐために約105mmに揃えられています。車体取り付け前に、メーカーが推奨する基本設定値である97〜100mmになるようにプリロードをかけてから車体に取り付けます。

取り付けは、単純に純正サスペンションと入れ替えるだけです。ただし、スイングアームを外さないでサスペンションを交換するには、エアクリーナーボックスを外す必要があります。

また、セットによっては全長がわずかに長くなるため、車体を浮かさなければ取り付け困難になる場合があります。

アッパー側は純正ボルトを流用し、ロア側ボルトは付属のM8×60mmサイズのボルトを使います。

ボルトのサスペンション応力がかかる部分にはにはグリスを塗布し、セッティング出しの際の着脱を考慮して、規定値の約7割の締め付けトルクでボルトを本締めしました。

キットにはプリロード調整用の2本のフックレンチが付属します。プリロード調整は安全のために、バイクに搭載した状態で行うようにと説明書に記載されています。

セッティング作業性をしやすくするために、エアクリーナーボックスから、むき出しフィルターへ仕様変更しました。

もちろん、少々減衰力調整がしにくくなるものの、純正エアクリーナーボックスを装着したままでもセッティングができるようになっています。

組み付け時締付トルク

アッパー

44N・m(4.5kgf・m)

ロア

34N・m(3.5kgf・m)

 
取扱説明書リンク(品番06ー04ー0040)

 

試走&簡易調整

基本セッティングデータ

車高調整幅(全長)

10mm(265〜275mm±2mm)

減衰調整(伸び側)

18段

プリロード基本値

97〜100mm

 

本来ならサグ出し(ストローク調整)をしてからセッティングに移るところですが、あらかじめメーカーが推奨する基本セットが提示されているため、サグ出しをせずとも底付きなどは起こらないと思われます。

プリロードセッティングはメーカー推奨基本値の下限であるスプリング長100mmからスタートし、徐々に締め上げて乗り味の変化を確かめます。

同時に、各プリロードで減衰力を最強と最弱の極端なセッティングに振って調整幅を確認し、走りながらセッティングの概要と方向性を決めていきます。ちなみに、ライダーの体重は55kgです。

 

スプリング長100mm

スプリング長100mmはおおよそ純正と同じ固さ、もしくは少し柔らかいくらいです。この状態で減衰力を最大にすると車体の上下動が大きく、ダンパーがその動きを規制するため、身体が上下に揺すられ非常に不快です。

このセットが良くも悪くも純正サスペンションに一番近い印象。ただし速い速度で段差を越えた際の突き上げは純正サスペンションよりも若干マイルドに感じられます。

減衰力最弱ではフワフワして頼りない印象に加え、アクセルオンでトラクションがかかるまで純正以上にタイムラグがあり、踏ん張りが利かず、少々危険とも思えるセッティングです。

乗車時の姿勢がリア下がりになり、荷重が減ったフロントフォークが仕事をしていないと感じられます。フロントフォークにスラストベアリングを入れた滑らかな伸縮効果もほとんど感じられませんでした。

 

スプリング長99.5mm(プリロード約0.5mm・ロアシート1回転)

スプリングシートを1回転させると、おおよそ0.5mmほどプリロードがかかるようです。

プリロードをたった0.5mmかけただけでも乗り心地がずいぶんと固くなり安定感が増します。しかし、不快な固さではなく、安直にこれがベストと思えるほど快適性と運動性能がバランスされたセットです。

不思議なことに、減衰力を最強と最弱に振っても違いはほとんど感じられませんでした。

 

スプリング長99.0mm(プリロード約1.0mm・ロアシート2回転)

スプリングシートを2回転回させて約1mmのプリロードをかけた状態では、さらにムダな動きがなくなった印象です。

小さな路面の凹凸もいなしてくれるフラットライドに近いものの、やや腰に負担を感じるようになります。

減衰力最強では、長距離移動で腰が痛くなりそうです。減衰力最弱ではフラットライドが強調され、細かな路面の凹凸もほとんど感じさせないほど乗り心地が向上します。

これ以上はスプリングの反発が強過ぎてプリロード調整がしづらくなるため、とりあえず簡易セッティングはここまでです。後は時間をかけて様子を見ながら調整していきます。

現状では、おおよそスプリング長100mmから1mm弱のプリロードで、伸び側減衰弱めのセッティングに落ち着きそうです。

 

武川黒バネ車高調キットのまとめ

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単純にプリロード量を減らしてサスペンションを柔らかくするだけでは、バイクの乗り心地は良くならないようです。

ある程度固めたセッティングにしなければ伸び方向の路面追従性が低下し、車体が揺すられ、むしろ乗り心地は悪化することがわかりました。

タケガワの黒バネサスペンションは調整幅が広く取られているものの、縮み減衰が固定であるため実質的な調整幅はそれほど広くありません。一般道で低速走行をする限り、伸び側減衰調整の変化量はほんの味付け+α程度です。

簡易調整の雑感としては、バイクはリアをある程度固めてフロントで乗るのが正解のように思えます。強いて言えば、ライダーが乗った状態で前後タイヤに均等に接地圧がかかるようにバランスさせるのが基本なのでしょう。

そうすればアクセルオンやブレーキ操作で前後の荷重移動が自在にできることで、段差を乗り越える際には『荷重抜き』をより効果的に使えるようになりそうです。

また、リアのプリロードを上げるほと前傾姿勢で前荷重優位になり、スラストベアリングを仕込んだフロントフォークが乗り心地に対して効果的に働くようになります。プリロードを決めた後は、前後車高バランスの煮詰めが肝になりそうです。

 

↓中古品ゆえか、ロアスプリングシートに付属するはずのナイロンシートがついていませんでした。これは身近なアレで代用できます。スムーズなサスペンション動作には必須のパーツです。

↓バイクの乗り心地を改善するなら、フロントフォークへのスラストベアリング組み込みが有効です。1,000円以下でできるハイコストパフォーマンスのカスタムです。

 

↓100均の耐震ジェルシートも乗り心地改善に効果を発揮します。路面やエンジンから伝わる微振動をカットし、原付が高級バイクになったような変化をもたらします。

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