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『夜の運転が怖い!』バイクの夜間走行は準備が大切!空間識失調の知識も

同じ道でも、昼と夜ではまったく違う道に感じれます。カーブの曲率や路面にあるギャップの位置がすべて頭に入っていても恐怖心は消えません。おまけに不思議と「めまい」にも似た症状が。それは空間識失調を起こし、平衡感覚が失われている状態です。

「夜はバイクに乗らない」と決めていても、急用で乗らなければならないこともあるでしょう。また、日照時間が短い季節は夜間走行を迫られることも少なくありません。改めてバイクの夜間走行の危険性を知っておきましょう。

 

【バイクで夜間走行の危険性】空間識失調を抑える準備が大切

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夜のバイクの運転が危険であることは誰もが知っていることでしょう。その危険は視界不良によるものだけではありません。

バイクの夜間走行が危険な点は「視認性の悪化」と「被視認性の悪化」に加え、「暗闇による平衡感覚の失調」の3つです。とりわけバイクの夜間走行は「空間識失調(バーディゴ:ラテン語でめまいの意味)」の対策が重要となります。

空間識失調とは?

空間識失調については、戦闘機パイロットが操縦中に水平感覚を失う話が例としてよく出されますが、空間識失調は特定の状況で誰もが起こりえる事態です。

空間識失調は内耳の平衡感覚や筋肉の感覚と、視覚から得られる情報が不一致を起こし、脳が正しい位置を認識できなくなるために起こるとされており、バイクではトンネル内を走行中に一点を見つめ続けたり、暗闇でヘッドライトが照らす限られた範囲に集中し視覚情報が偏ると平行感覚が狂いやすくなります。

バイクでの夜間走行時に「めまい」に似た感覚を覚えたことがある人も多いのではないでしょうか。これが空間識失調を起こした状態です。夜の闇に雨や雪、霧などが重なるとさらなる視界悪化に加え、それだけでひどい空間識失調を起こします。

夜の運転が怖いと感じる原因は、軽度の空間識失調も大きな要因を占めていることは想像に難くありません。

幻惑による平衡感覚の失調も起こる!明順応と暗順応のメカニズム

夜間走行時によく起こる「明順応」と「暗順応」も視界を失わせ、平衡感覚と空間認識能力を狂わせます。明順応と暗順応は、周囲の急激な明度変化に視覚が追従できず、過度に眩しく感じられたり、暗く感じたりする現象です。

明順応もっとも典型的な例は、対向車の眩しいヘッドライトによる幻惑です。幻惑による瞬間的な視界不良とめまいは四輪車でも問題視されますが、不安定な二輪車で起こすと非常に怖い思いをすることになります。

とくに最近はハイビーム走行が推奨されるようになり、対向車がこちらに気づいてロービームに切り替えるまでのわずかな時間で幻惑を誘発しやすくなっています。また車のヘッドライトの光量が上がっていることもそれに拍車をかけます。

またバイクでは暗順応も頻繁に起こります。ヘッドライトの光量不足も手伝って、後続車のヘッドライトに照らされて明るい視界状態が長い時間続くと、後続車がいなくなった瞬間に目をつむったように視界全体が真っ暗に。

暗順応にかかる時間は、明順応よりも長いため視界不良の状態がしばらく続くことになります。後続車がトラックなどの場合、追い抜かれた後に生じる走行負圧と暗順応が重なると、非常に不安定な状態に陥ります。

こうして起こる視界不良や平衡感覚の失調は人間の生理現象であり、訓練などにより耐性を得ることは困難です。そのためバイクの装備や運転技術などで対策するしかありません。

 

【対策①】ライダーの装備を整える

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夜間走行時の事故防止には視界確保が最重要です。もっとも重要なのはヘルメットのシールドの状態を良好に保っておくことといえるでしょう。

夜間はシールドを使用して走行する場合がほとんどです。夏場は飛来する虫からの防御のために、冬場は防寒のためにシールドが必須です。

シールドにキズや汚れがあると対向車のヘッドライト光が散乱してしまい、著しく視界が悪化します。また寒い時期は湿気による曇りも視界不良を誘発させるうえ、その状態で強い光が当たると視界はほぼゼロの状態になります。シールドの曇り止めの処理も視界確保に欠かせません。

もちろん夜間のスモークシールドは論外です。スモークシールド等は明順応の対策とはなるが、そもそも視界確保が難しくなるうえ暗順応が起こりやすくなります。

そのほかサイドミラーの向きと固定状態にも注意を払いましょう。走行中にミラーの角度がズレると、ミラーに映るはずの後続車のヘッドライトが映らず、違和感とともに平衡感覚が狂いがちです。真っ暗な道では、日中のように走行しながら手で調節することも難しいため、走行前にミラーの角度を確認しておくようにしましょう。

視界不良を含め、夜間は外因による転倒のリスクも高くなります。暗闇のなかでは受け身も取りづらいため、速度帯に関わらず各部プロテクターは装着しておきたいところです。

【対策②】バイクのヘッドライト強化や反射板の活用

街灯がひとつもないような道での視界確保は前照灯だけが頼りの綱です。ヘッドライトが光量不足ではハイビームにしても遠方の景色が鮮明に捉えられず、注視しようとすることでよけいに空間識失調が起こりやすくなります。

とくに古いバイクのヘッドライトは基本的に光量不足であるため、頻繁に夜間走行をするなら可能な限り明るく視認性のよいヘッドライトバルブに交換しておきましょう。前照灯の性能は速度が高いほど重要になります。

またハイビーム中は、近距離の路肩の状態が確認できないため歩行者や動物の飛び出しに対しての反応が遅れがちです。その対策として、フォグランプやドライビングランプなどの補助灯を備えておくのが理想といえるでしょう。周囲の地面がよく見えれば、それだけ空間識失調も起きにくくなります。

その他、ブレーキランプやウインカーは、周囲からよく見えるように灯体自体の被視認性を確保しておくことが最重要です。テールランプやブレーキランプ、ウィンカーなどの球切れに注意することはもちろん、総じて夜間の被視認性に劣るバイクは、反射材なども活用してよく目立つようにしたいところです。

光の指向性が高いLEDランプは見る角度によって光量が大きく変化します。車体後方の離れた位置から光具合を確認し、必要であれば取付角度を調整するとよいでしょう。

【対策③】危険な道を避けるルート選び

夜間は極力明るく見通しのよい道を通るようにルート選定も大切です。

とくに夜間の峠道はクルマ通りが少ないうえ街灯も少なく、怖いからと低すぎる速度で走行するとブラインドコーナー走行中に追突される恐れがあります。かと言って良好な視界を確保できなければ、高い速度を保ったまま走行することもままなりません。

比較的安全な道路端を走行しようにも、道路の端は砂や砂利石が浮いているため転倒のリスクが高まってしまいます。また峠道に限らず、道路端の走行は歩行者や自転車との接触リスクも高まります。

夜間は走行ラインにも注意しましょう。路面温度が低下する夜間はただでさえスリップしやすいうえ、日中なら目視確認できる路面の状態把握も夜間はほぼ不可能になります。視界不良に加え、平衡感覚が掴みづらいこともあってリカバリーもそれだけ難しくなります。

とくに大きな交差点では車が通らない部分に砂利が溜まりやすく、それに乗ってしまうとスリップを誘発してしまいます。砂利に乗り上げて一瞬スリップしたタイミングと、パワーオンのタイミングが重なるとバンク角によってはいとも簡単に転倒してしまうでしょう。

 

幻惑を防ぐ視線テクニック

明順応と暗順応による幻惑は防ぐ方法があります。

例えば、ブラインドコーナーに迫ってくる対向車はほぼ間違いなくハイビームと想定し、あらかじめ視線を逸らせておくことで明順応のよる幻惑をある程度緩和できます。同じ様に、暗順応になるタイミングも知っておけば、事前に速度を落としておくなどの対策が取れます。

こうした視線の動かし方も夜間走行では重要なテクニックと言えるでしょう。そのためには周囲を走る車両の状況を把握して危険タイミングを察知できることが必須です。

まとめ:良好な視界と被視認性の確保で事故リスクを低減

不十分な夜間装備と準備の怠りは空間識失調や幻惑を誘発させ、暗くて捉えづらい路面の砂利やアンジュレーション(うねりや凹凸)も相まって、真っ暗な道は終始ヒヤヒヤしっぱなしです。

昼と夜では、同じ道でもまったく別物です。走り慣れた道でもこれだけ違うのですから、はじめて通る道ではなおさら運転が難しくなります。

夜間走行は特有の注意点があります。まずは、以上のような危険があることを知ることが第一であり、それらの危険性を緩和させる装備を整えることが必須となります。そして、夜間走行は慣れも必要といえそうです。

また周囲が暗くなってくると、先を急ぐ気持ちから焦りが生まれます。そういうときこそ落ち着いた慎重な運転が求められます。

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