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【オーバーヒート=エンジン過熱状態】空冷バイクは一般道でもクーリング走行で対策を!

オーバーヒートとはエンジンが許容する設定温度を越えた状態。水冷エンジンなら問題がなくても、真夏のツーリングでは油冷エンジンのバイクは常にオーバーヒートと隣合わせです。夏場の空冷エンジンの乗り方とオーバーヒート対する注意点を解説します。

オーバーヒートの原因

オーバーヒートになる原因は以下のようなものが挙げられます。

  • 冷却水やオイルの不足
  • ラジエーターやオイルクーラーなど冷却システムの故障
  • 冷却性能の不足 

水冷エンジン、油冷エンジンを問わず発熱量がエンジンの冷却性能を上回ることがオーバーヒートが起こる条件です。冷却性能は車種やバイクの状態によっても異なるため、  オーバーヒートを起こす温度は、外気温や水温(油温)などで一概に規定することはできません。 

また車体異常だけでなく、外気温が高いなかでは以下のように乗り方やエンジンの仕様によってオーバーヒートが誘発されるケースもあります。

  • 高回転域の多用
  • 渋滞などの過度な低速走行
  • 燃調や点火時期
  • 異常な外気温

現在の自動車や冷却ファン付きの液冷(水冷)エンジンを搭載した大型バイク等なら、冷却機構の故障以外の原因でオーバーヒートに陥ることは稀です。

しかし、エンジンフィン以外に特別な冷却機構が備わらない空冷(油冷)エンジン搭載車は、異常な外気温によって放熱が追いつかず、オーバーヒートを起こすことは決して珍しいことではありません。

 

オーバーヒートに陥るとエンジンに後遺症を残すことも

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エンジンの故障あるいは取り返しの付かない後遺症を残してしまうのがオーバーヒートの恐ろしいところです。

オーバーヒートの前兆が出始めた時点で対策が取れれば故障に発展させずに済みますが、気づくのが遅ければ最悪エンジンが壊れます。まずは、オーバーヒートが起こった際に現れる症状を知っておきましょう。

【第1段階】オーバーヒートの前兆

油温上昇

シフトフィールの悪化・クラッチ切れの悪化・エンジンフィーリングの悪化

エンジン部品の過度な熱膨張

ピストンリング・シリンダーなど各エンジンクリアランス減少:ピストンとシリンダーのクリアランス減少によるパワーダウン。それによるアイドリング不調や、意図しないタイミングでのエンスト

ノッキング音

「キンキン」「カンカン」のような、混合気の圧縮温度が自己着火温度に達することで起こる異常燃焼音

 

第1段階の症状で済ませられれば、 エンジンへの後遺症は残らない場合がほとんどです。 オーバーシートへの対策は、症状が出始めたらなるべく早期に手を打つことが肝心です。

【第2段階】オーバーヒートによる故障

過度な油温上昇

オイルの潤滑不良による、エンジン内各摺動部へのダメージ・クラッチディスクの歪みなど

シリンダー周辺の歪み

ピストンおよびシリンダーへの傷(スカッフ現象)・ガスケット抜け(圧縮不良)

ヘビーノッキング

デトネーション・プレイグニッションなどのエンジン破壊につながるノッキング現象

エンジンの融着:部分的な融着(抱き付き)・完全な融着(焼き付き)

 

第2段階に達すると実質エンジンブローです。運良くエンジンが再始動できたとしても決して自然回復することのない異常が残り続け、いずれの箇所に異常をきたした場合でも復帰させるには大規模な修理が必要になるため、多額の修理費用がかかります。

 

オーバーヒートが起こりやすい状況

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夏場のように外気温が高い状況下では、以下のような状況でオーバーヒートを起こしやすくなります。以下の場合以外でオーバーヒートを起こすようなら、何かしらエンジンに異常を抱えているとみてよいでしょう。

渋滞路などでの長時間のアイドリング

空冷エンジンには外周に備わったヒートシンクなどの冷却設備によりアイドリング回転でもオーバーヒートを起こさないだけの放熱性が備わっていますが、外気温が想定以上に高い場合はこの限りではありません。油温は確実に上昇するため、意味のない長時間のアイドリングは避けるべきです。

アイドリングと微低速走行を繰り返す渋滞路も同じ理由で油温上昇を招きます。外気温が高いほどフィンによる冷却効率は下がるため、とくに真夏の炎天下の渋滞は極力避けるべきものです。

急な上り坂・長い上り坂

もっともオーバーヒートが起こりやすいのは上り坂です。とくにパワーがない原付バイクが急坂を上るには、高いエンジン回転数を維持しながら低速走行を余儀なくされ、エンジンにとって非常に過酷な状態が続きます。

長い上り坂であるほどエンジンの発熱量は高まるうえ、速度が低くエンジンフィンに走行風が当たりづらい状態が長く続くことになるためオーバーヒートしやすくなります。真夏のツーリングはなるべく峠道などを避けたルートを選択すべきです。

 

オーバーヒートへの対処法

一般的な4ストロークエンジンの正常な稼働温度は油温90〜110℃の範囲です。油温110℃を超えるとオーバーヒートが疑われます。

「カンカン」「カラカラ」「キンキン」「ギンギン」といったノッキング音がする場合や、明らかなパワーダウンやシフトフィーリングの悪化が感じられるなら、オイルパン内の油温が110℃を越えていると見てよいでしょう。いざそうなったときの対処法を解説します。

クーリング走行

走行中にオーバーヒートの症状が出始めたらクーリング走行をしましょう。クーリング走行とは、サーキット走行でピット前に行う各部の冷却のための低負荷走行をいいますが、一般公道でもオーバーヒート時の対策として有効です。

コツは、高いギアにシフトしてスロットルを絞り回転数を極力下げつつ、なるべく速度を上げるようにして走行することです。エンジンの発熱量を極力抑え、最大限エンジンに走行風を当ててエンジンの冷却を促してやりましょう。

エンジン停止

渋滞路や長い上り坂など、クーリング走行ができない状況ではすぐさまエンジンを停止するのが望ましいでしょう。停止後は一時的に温度は上がるものの、空冷エンジンなら放熱フィンによる自然放熱性が高いため冷めやすい傾向にあります。可能であれば風通しのよい日陰に移動させましょう。

ただし冷却するためだからといって、過熱したエンジンに水を掛けるのはもちろんNGです。急冷されることで金属が脆くなりエンジンの破損につながります。

 

オーバーヒートへの対策

液冷エンジンならともかく、空冷エンジンではオーバーヒート防止のために打てる対策は少ないのが実情です。

油温計 

多くのバイクに油温計は標準で備わらないため、オーバーヒートの症状は感覚で判断するしかありません。 油温計自体にオーバーヒートを抑制する効果はありませんが、 正確な油温を知ることで危険温度に達する前に対策が取れるようになります。 

オイルクーラー

オイルクーラーの設置はオーバーヒート対策に効果的です。オイル流路の表面積増加による自然放熱の強化に加え、オイル量の増加により油温がピーク温度に達するまでの時間が短くすることが可能です。

 

ただし、風が当たらない状況ではオイルクーラーの性能は活かせないため、渋滞路などでの効果は見込めません。オイルクーラーの性能を発揮させるためには オイル吐出量を確保するために オイルポンプの強化が必要な場合もあります。 

電動ファン

電動ファンが備わるオイルクーラーなら渋滞路でもある程度の効果を発揮しますが、油の比熱が低いためか、電動ファン付きオイルクーラー自体があまり一般的ではありません。発電量の少ない原付では電力不足の懸念もあります。

高性能オイル

高粘度オイルや化学合成油などの高性能オイルを使用すれば、安価なオイルでは潤滑不足となる高温度帯でも油膜を保持してくれます。

ただしどれだけ高価なエンジンオイルであっても、潤滑不良に達する温度が引き上がるだけで温度上昇自体を抑える効果はほとんどなく、オーバーヒートそのものへの対策とはならない点には注意が必要です。

オーバーヒートに対する高性能エンジンオイルの役割は、あくまで潤滑不良が起こった際のダメージを最小限に抑えるための保険といえるでしょう。

 

日常的なクーリング走行のすすめ

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「オーバーヒート」という言葉自体は故障を指すものではなく、エンジンの発熱量が冷却性能を上回った場合の現象のことを指し、オーバーヒートの結果としてオイルの潤滑不良や異常燃焼などが起こりエンジン内部にダメージが残ります。

オーバーヒートが起こる前には必ず予兆があるため、その際の予兆を見逃さない、 あるいは予兆が出はじめる前に対策を行うことが真夏のオーバーヒート対策にはもっとも有効です。

もっとも簡単な対策法はクーリング走行です。夏場、高負荷運転などでエンジンを酷使した後は、バイクに何の問題がなくともしばらくクーリング走行することを提案します。

急加速の直後や長い上り坂の走行後、 渋滞を抜けた後の油温は平時よりも高い状態になっています。 その状態で高負荷運転を続けると油温はさらに上昇し続け、オーバーヒートの症状が出ずとも確実にエンジンオイルの劣化が促進されます。 

油温計などで指し示される温度はエンジンオイル総体での温度であり、通常走行でもエンジンオイルは極所的に110℃を優に越える熱にさらされています。油温計の温度が危険域まで上がっていないからといって、決してエンジンオイルがダメージを受けてないわけではありません。

とくに排気量が小さな原付バイクは一般道の走行でもサーキットランに近い稼働環境です。

オーバーヒート対策としてはもちろん、エンジン停止直後の一時的な温度上昇を抑え、エンジンオイルの劣化を抑制するためにも、目的地が近づいたらクールダウンを意識して走行することをおすすめします。

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