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スーパーゾイルスプレーの意外な使い方! エンジンヘッドとプラグホールに注入した効果は?

本来はベアリングやクラッチワイヤーなどの潤滑に用いられるスーパーゾイルスプレーですが、エンジンの組み付けオイルや、焼き付き防止目的でも使用されます。

しかし高性能を謳うだけあってスーパーゾイルスプレーは潤滑剤としては非常に高額です。ならエンジンオイルへの添加ではなく、エンジンヘッドやピストンリングへ直接塗布すれば最小限の出費でスーパーゾイルの金属表面改質効果が得られ、バイクをパワーアップできるのではないかという発想から実際に試してみました。

結果から述べますと、一時的ではあるもののスーパーゾイルスプレーを塗布することでエンジンフィーリング等の改善が果たせます。また一過性の効果とはいえ、走行距離50km以上効果が持続することを確認しました。

本記事では、スーパーゾイルスプレーの活用方法の紹介と効果検証の記録をお伝えします。

目次

 

スーパーゾイルスプレーとは?金属表面改質剤の凄さ

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スーパーゾイルやベルハンマーなどの金属表面改質効果を謳う高性能潤滑剤をエンジンに使えれば確実にパワーアップが可能です。

スーパーゾイルが謳う金属表面改質効果は、メーカーから以下のように説明されています。

"金属表面を再生して強靭にする。スーパーゾイルは塩素系添加剤のように金属表面をミクロン単位で溶かすものではなく、金属表面をより強く強靭に再生する働きがあります"

引用元https://www.superzoil.com/userContents/superzoil/whatszoil.html

つまり、塗布した潤滑剤が洗い流されても潤滑作用は保たれるため、スーパーゾイルはドライスタートや焼き付き防止に効果的。これは高回転を多用する小排気量エンジンにとって非常に魅力的な性能です。

しかしバイクのエンジンに使うには、湿式クラッチが最大の関門。また、オイルに添加するとなると相応の量が必要になり費用もネックです。スーパーゾイルやベルハンマーなどの高性能潤滑剤は総じて高額です。

今回行ったのは、オイルへの添加ではなくエンジン内部への塗布実験です。

とはいえベルハンマーはクラッチ滑りを誘発するうえ、極圧成分がエンジン内部にどのような影響を及ぼすか不明瞭であるためトラブル発生の懸念からバイクのエンジンへ使用するのは気が引けます。

対してスーパーゾイルは公に「湿式クラッチへの影響はない」と明示されているため、原付バイクのエンジンにもデメリットなく使えます。同じ金属表面改質効果がある高性能潤滑剤でも、性能はともかく素性に優れるのはベルハンマーよりもスーパーゾイルの方といえるでしょう。

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スーパーゾイルスプレーをエンジンに使う方法

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スプレーの使用量を少なく抑えるため、エンジンのなかで潤滑を必要とする最低限の箇所のみに塗布する必要があります。そのため、施工箇所は大きく分けてエンジンヘッド内部とピストンリングの2箇所に厳選します。

この使い方はメーカー公式とは言えないものの、スーパーゾイルスプレーはエンジン組み付けオイルや、エンジンの焼き付き修理や防止に使用できると公言されているため、決して間違った使い方というわけでもありません。

塗布箇所と塗布方法を解説していきます。

ヘッドカバーを外して各部へ塗布! ピストンリングへはプラグホールから

エンジン内部への塗布箇所は、以下の部分です。(ホンダ エイプの場合)

  • カムシャフトジャーナルの回転摺動面
  • カムとロッカーアームとの摺動面
  • バルブヘッドとタペットスクリューの打点部
  • バルブステムとコッターの摺動部(固着防止効果も期待)
  • バルブステムおよびガイドの摺動面
  • カムチェーンおよびテンショナーとの摺動面
  • ピストンリング

カムシャフトの下部はカム山とカムジャーナルへ供給するオイル溜まりになっているので多めに添加します。

カムカバー上面にはロッカーアームの軸へオイル供給するための凹みがあるため、ここへも多めに吹き入れましょう。あとはキックペダルを回しながら、カムチェーン全周に塗布します。

ピストンリングへはプラグホールから吹き入れました。使用量はエンジンヘッドと合わせて10ccにも満たないと思いますが、これでもしっかりと効果が感じ取れました。

ちなみにスーパーゾイル添加剤は、エンジンオイルに対して初回は10%が推奨されており、エイプのエンジンオイル量は約1Lであるため、添加剤の量は100mlほどを必要とします。

それに対し、スプレー塗布の場合の使用量はその10分の1以下で済みます。

 

塗布だけでエンジンが滑らか!スーパーゾイルスプレーの絶大な効果

変化をより正確に判断できるように作業は十分な暖機後、一定距離を走行した後に行いました。まずはヘッドのみに塗布した状態で変化を確認します。

正直、大きな期待はしていませんでしたが、明確な変化が感じ取れました。エンジンから発せられる高周波音が減少。さらに微振動が低減。シフトペダルの操作感も明らかに変わりました。

ギアボックスには薬液がほとんど回っていないはずですから、おそらくエンジンヘッド周りの振動低減がシフトフィールの変化につながったと予想します。アイドリングが高くなるほどのロス低減とはなりませんが、アイドル回転数が塗布前よりも安定しているのはハッキリとわかります。

これはちょうど、へたりきったエンジンオイルから高性能エンジンオイルへと交換したときの印象と似ています。使用しているエンジンオイルはホンダ純正G1で、半年前に交換し走行距離は1,000kmにも満たない状態です。

オイルの状態はそれほど悪くはないはずですが、スーパーゾイルをエンジン内部に塗布しただけでより滑らかに回るようになったのには少々驚きです。

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ピストンリングへの塗布でさらに効果アップ

さらに追加でピストンリングへの塗布。ヘッドへ塗布したときほど明確な変化はありませんが、より回転の滑らかさが増したように感じられました。

エンジンヘッドとピストンリングの両方へ塗布したことで、とくに低回転・低負荷走行時ほど滑らかさが顕著に感じられます。またヘッドのフリクションによるエンジン負荷が減っているため、回転数を落としてもエンストしにくくなり発進が楽になりました。

スロットルを開けはじめてから回転が上がり出すまでの反応が明らかに速くスムーズ。ラフにスロットルを開けても、わずかな息継ぎもせずにフワッと加速するのは不思議な感覚です。明確にエンジンが気持ちよく回るようになっています。

加えてエンスト耐性も確実に向上しており、エンストしかけた際にはエンジンが一瞬止まったのにも関わらず、クラッチを切ったとたん自然に再始動しました。キックペダルもわずかに軽くなりましたが、圧縮による重さ自体は変わりません。

金属表面改質効果の持続性は50km以上!

肝心の持続性能は、走行距離20kmほどは初期の効果が続いていることが実感できました。しかし50kmほど走行すると、やや効果が薄れたような印象。しかし効果が続いていることはハッキリとわかります。

ただし人間の感覚として、パワーダウンはパワーアップに比べて体感しづらいものです。そこで、より緻密な感覚的検証のために、50km走行時点で再度スーパーゾイルスプレーを塗布しました。

こうすれば、再塗布して再度改善効果が体感できたなら走行距離50kmほどで効果が落ちていることが明確になります。反対に、変化が感じとれなければ効果はそのまま持続中ということです。ただし、合計2回の施工でエンジンオイル総量に対しての添加量は増えることになるため、性能は向上する傾向にあることは述べておきます。

再塗布してより正確な効果を確認

塗布工程は初回塗布時と同じです。再施工後は、初回塗布直後のエンジンが滑らかな印象が復活しました。つまり、50km走行時点で性能が低下していた証といえるでしょう。

このことからエンジンへのスーパーゾイル塗布は、20kmほどは高い効果が得られるものの、そこから走行距離が伸びるごとに、改善効果は低下していくことがわかりました。

ただし、50km程度走ると効果は明確に落ちるものの、金属表面改質効果によるエンジン内部のフリクションロス低減効果はシッカリと残っています。もちろん燃費性能にも良い影響をもたらすことでしょう。

これはあくまで予測ですが、効果の持続走行距離はヘッドのオイル溜まりからスーパーゾイルの薬液が失われた時点(20km走行時点)で性能が落ちるのかもしれません。しかし、カムシャフトの回転で巻き上げられたオイル溜まり内の薬液は飛沫になってヘッド内部の潤滑に用いられます。

オイル溜まりに供給するスーパーゾイルの量を多くすれば、より長く効果が持続するかもしれません。

効果が100kmほど持続してくれれば御の字ですが、現時点での検証はここまでとなります。

2024年1月追記

スーパーゾイルスプレー塗布後、2ヵ月経ってからバイクを使用したところ、まだゾイル特有の滑らかな感触が残っていました。

また、温間時の始動性が向上していることも確認できました。始動の際は「キック」というより、ペダルを軽く「踏む」だけでエンジンが始動するようになっています。

これはスーパーゾイルスプレーの高い潤滑性によってキックの速度が遅くとも、始動に十分なピストンスピードが得られるようになったためと思われます。排気量が特に小さい50cc特有の変化ではあるものの、これは思わぬ収穫です。

 

スプレータイプのスーパーゾイルならさまざまな活用方法が

スーパーゾイルのエンジンオイル添加剤を投入し続ければ、当然良好な潤滑状態を永続的に維持できます。しかし、そこまで高い潤滑性能が必要ではない場合はスプレーでも十分といえるでしょう。

また、添加剤をエンジンオイル以外の用途に使うシーンは限られます。しかしスプレーなら、エンジンのほかクラッチワイヤーやスロットルワイヤー、各摺動部のグリスアップなど多様に使えるため、その役割は一石二鳥どころではありません。

とくにエンジンへ塗布しての使用はアンダーパワーな原付のエンジンへの使用がおすすめです。ヘッドカバーとスパークプラグを外す手間はかかるものの、それに見合う効果を返してくれるでしょう。

急坂を通るハードなロングツーリング前のメンテナンスや真夏のエンジン焼き付き防止の保険としてのほか、長期間動かさなかったバイクのドライスタート防止に加え、草レースのパワードーピングなど多くのシーンでスーパーゾイルスプレーが活用できると思われます。

また、コンパクトタイプの80mLスプレーは、北海道ツーリングのような長丁場の携帯チェーンオイルとしても重宝するでしょう。

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【コスパ3倍!?】SUPER ZOILはスプレーの方がお買い得?

スーパーゾイルスプレーのもう一つの特徴はコストパフォーマンスの高さです。使い勝手の良さはもちろん、内容量に対しての価格が安い点が挙げられます。

スーパーゾイルの4サイクルエンジン用添加剤の価格は100mlで希望小売価格が2,600円。それに対し、スーパーゾイルスプレーは280mlで2,200円(80mlの本体価格は980円)です。

もしスーパーゾイルスプレーをオイル添加剤として使えたなら、市販のゾイル添加剤に対して3倍以上もハイコストパフォーマンスが高いことなります。

もしくは、一度オイル添加剤のスーパーゾイルを使ったら、その後はスプレーの塗布だけで性能を維持できるかもしれません。(オイルへの添加量は初回10%、2回目以降は3〜5%とされています)

ただし、スーパーゾイルスプレーはエンジンの組み付けオイルとしての使用は推奨されているものの、オイル添加剤として使用することの是非は明記されていないため、添加剤として使う場合は自己責任でお願いいたします。

添加剤として使用せずとも、バルブクリアランス調整やスパークプラグチェックのついでにスーパーゾイルスプレーを使うと、その後しばらくは別のバイクに乗っているような感覚が得られるかと思います。

手元にスーパーゾイルスプレーがありましたら、ぜひ体感してみてください。

 

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