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手持ちの工具がトルクレンチに!『toneハンディデジトルク』のレビュー

自動車以上に幅広い種類のボルトが使われているバイクの整備に、トルクレンチは必須の工具です。

細いボルトも多いため折ってしまうことや、太いアクスルシャフトの締付けトルク管理はトルクレンチがなければ不可能です。

今後の整備のためにトルクレンチを購入したため、これをレビューします。購入したのは『tone ハンディデジトルク』。

この『tone ハンディデジトルク』は、手持ちの工具に追加して使えるコンパクトでコストパフォーマンスに優れたデジタルトルクレンチ。操作性が悪いデメリットがあり業務用途には向かないものの、軽作業や低頻度のバイク整備には最適なトルクレンチです。

目次

 

バイク整備にトルクレンチは必要?

bike_tools_torque wrench

自立できないバイクにとって、ボルトの緩みや破断は致命的な事故の原因になります。

ボルトの管理にもっとも大きく関わるのは締付けトルク。締付けトルクが不十では、走行中にボルトが脱落する恐れがありますし、過剰な力で締付けられたボルトは折れてしてしまいます。

もっとも恐ろしいのは、オーバートルクによる破断直前のボルトです。とくに、たった一本でタイヤを支えるアクスルシャフトのトラブルは、非常に大きなトルクを扱ううえ、トルク管理を誤ると事故に直結するバイクのアキレス腱といえるでしょう。

バイクのボルト管理にトルクレンチは必須です。普段自分で整備をしなくとも、定期的な増し締めは必要になるため、車体用のトルクレンチを1つ用意しておくと安心です。

 

手持ちの工具がトルクレンチになる『tone ハンディデジトルク』

tone_handy-digi-torque

『tone ハンディデジトルク(H3DT135)』は手持ちのラチェットレンチやハンドルに取り付けて使うデジタル式トルクレンチです。

液晶画面で現在のトルク値をリアルタイムで視認できるほか、設定トルクになるとブザーで知らせてくれます。

また、設定トルクに近づくとブザーで知らる警告機能も備わるため、うっかりしたオーバートルクも防止できます。

警告範囲も設定トルクの50~95%の範囲で設定可能です。左右両回転方向で使えるため、逆ネジにも使えます。

品番H3DT135は差込角9.5mmの最小サイズで、設定トルク範囲は10~135N・m。ミニバイクならこれひとつで車体すべてをカバー可能。20~200N・mに対応した12.7mmの大型タイプも販売されています。

 

『tone ハンディデジトルク』の使い勝手は?

tone_handy-digi-torque
トルク値をリアルタイムで視認できるのは非常に便利です。手応えと数値の両方で締付けトルクが確認できるため、画一的に設定トルクを遵守するのではなく、正確に微調整することができます。

電池消費を抑えるためオートパワーオフ機能付きです。おまけに、電源が切れる前に音で知らせてくれます。ただし、60mmのエクステンションを付けたのと同様であるため、力をかけづらいのが難点です。

また、オフまでの時間がおよそ1分30秒と短いため、締付け準備をしている間に電源が切れてしまい、作業中に何度も電源を入れ直さなくてはなりません。電源オンはボタン長押しである点も作業性の悪化につながります。

トルク設定は増加・減少の2つボタンで行います。設定したトルク値は電源を切っても保持されるのは便利です。しかし、0.1N・m刻みで行なうトルク設定はややストレスが溜まります。

長押しすると10N・m刻みで調整できるものの、切り替わりが唐突かつ早く、設定値を行き過ぎては戻してと調整を何度も繰り返してしまいます。

あまりに面倒であるため、最終的にはトルク設定をぜずに、目視だけで数値を読みながら締め付ける方法に落ち着きました。インターフェースさえ改善してくれれば文句なしの商品です。

 

コスパは高いものの使用頻度が少ない軽作業向け

デジタルトルクレンチは作業性が悪いため業務用途には向きません。しかし、安価で場所も取らず、管理にも大きな気を使う必要がないデジタルトルクレンチは、バイクの点検から軽整備の用途に最適なトルクレンチだといえます。

また、リアルタイムでトルクを確認できるため、トルク感覚を養うのにも最適です。トルクレンチがあるからといっても、ボルトナットの場所によってはトルクレンチで締付けられない場所もあります。

とくに追加タイプのデジタルトルクレンチは作業スペースの観点から使用できる場所がさらに限られます。そういった部分は「手ルクレンチ」に頼らざるを得ません。より正確な締付けトルク感覚を身につけておくことは整備においてやはり有用です。

軽整備にはデジタルトルクレンチがおすすめ

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カチンという手応えで規定トルクを知らせてくれる機械式のラチェット型トルクレンチ(プレセット型)がもっとも一般的に使われています。

しかし、一般的な機械式トルクレンチはトルクの対応範囲が狭いため、精度を求めると車体用だけでも2本以上を用意しなくてはならなくなります。

その点、トルク値をデジタル処理するデジタルトルクレンチは、対応範囲が比較的広いメリットがあります。

また、設定値でしか閉められない機械式に対して、リアルタイムでトルクを目視確認できるためトルクの調整がしやすいのも利点です。

ひとつのトルクレンチで済ませられれば、工具の場所も取らず、購入費用も抑えられます。

 

トルクレンチに頼りすぎるのも考えもの

バイクの各ボルトには、整備書によって締付けトルク値が明記されています。しかし、整備書のトルク値を鵜呑みにするのは考えものです。

中古のバイクには、材質が異なる社外品のボルトナットが使われている場合があります。また、締付けトルクはボルト部にグリスや汚れが付着しただけでも変化します。

そういった場合に整備書で規定されたトルク値で締め付けると、オーバートルクとなりボルトが破断する恐れがあります。さらにいえば、トルクは外気温によるボルトの熱膨張によっても変化します。

整備書に記載された締付けトルク値は、一定条件を基にメーカーが算出した安全だと判断された数値であって、安全を約束する絶対的な数値ではありません。

また、トルクレンチ自体の校正状態(数値のズレ)にも気をつける必要があります。 

 

デジタルトルクレンチならではのメリットも

非公式な使い方ではありますが、トルク値が随時確認できるデジタルトルクレンチは、締付けトルクによるバイクのチューニングがしやすいメリットもあります。

原則として、アクスルシャフトは締付けトルクが増すほど抵抗が増える構造です。また、サスペンションやスイングアームの締付けトルクは足回りの動きに、エンジンマウントボルトなどの締結強度は車体の剛性感に影響します。

変化量はわずかとはいえ、バイクの車体は締付けトルクによって確実に変化が生じます。場合によっては、締付けトルクの調整でバイクの不満点を解消させられる場合もあります。

 

デジタルトルクレンチはTONEのほか、多くのメーカーから販売されています。ブランドバリューを考慮すればTONEがおすすめですが、中身はいずれも中国製でしょう。違いがあるとすれば校正の精度くらいのもので、内部基盤やソフトウェアにも違いはないと思われます。

↓実際にデジタルトルクレンチを使ってボルトの増し締めをした様子。エイプの規定トルク値表付きです。

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