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キャブレターセッティングの心得【微調整の勘所】2020年6月

吸気系に大きく手を加えたため、それにあわせてキャブレターを微調整します。いろいろ試した結果、現状のままがベストである模様。結局、元に戻したものの、多くのことを学べた作業でした。

 

エイプ50 PB14キャブレター

どれくらい濃い? どれくらい薄い?燃調レベルを見極める

ベストなキャブセッティングが出たと思われた前回から、チョークバタフライ撤去と、エアクリーナーを高効率フィルターへの交換を実施。

手を加えるにつれ、シフトペダルの引っかかりが多くなり、排気音が以前よりも乾いた音がするようになってきたため、燃調が薄い方向にズレてきているものと思われます。

 

乗りにくさを感じるほどの燃調ズレではなく、パワーも充分。乗るぶんにはまったく問題のないレベルです。

しかし、現状のズレがどれくらいのズレであるか確かめるには、実際にジェットを変更してみて、感覚的な変化をジェットの番手に換算するような、「物理的な変化量」と「感覚的な変化量」をすり合わせ一致させる作業がどうしても必要です。

 

後学のためにキャブレターのリセッティングをおこないます。

 

過去に実施した作業はこちらから

メインジェットの番手を上げる

まずは、メインジェットを現状#65から#68へ変更してみます。キャブレターはエイプ50純正のPB14です。

以前の状態では、同様のセッティングにしたときには濃すぎて走れなかったとの記録がブログに残っています。

キャブレター ジェット

インプレッション

問題なくエンジン始動。排気音がやや大きくなり、湿った音質に変化しました。走り出してみると、トルクが厚くなった印象があります。

その代わり、吹き上がりがわずかに重く感じられるようになりました。ハンチングや回転上昇に引っかかりなどは一切なく、中間域でスロットルを開けた瞬間のトルク感は非常に良好です。

 

しかし、6,000rpm以降の高回転が回りづらい印象。トルクは増えていると思われるのに、リセッティング前は5速で60km/hまで出ていた車速が、同じく速50km/hで伸び悩みます。トルクは出ているのにパワーが出ていない感覚です。

 

この状態を空燃比として数値化すると、おそらく10:1~13:1あたりになっていると思われます。これぐらいの燃料:空気の比率は、インジェクション車であれば加速空燃比と呼ばれるもっとも力強い加速ができる空燃比です。

 

メインジェットを#68に交換したことで、メインジェットを守備範囲である3,000rpm付近以降の燃料が濃くなり、6,000rpm以降はさらに濃くなっているのでしょう。

スパークプラグの状態は、カーボンの付着量がやや増加気味でした。

 

 

ジェットニードルのクリップ位置を上げる

メインジェット#68では、わずかに燃調が濃い模様。その中間のメインジェットはないため、別の方法で燃料を絞る必要があります。次は、メインジェットを#65に戻して燃料を絞り、ジェットニードルの調整で燃料を少しだけ増加させてやります。

 

とはいえ、現状のジェットニードルのクリップ位置は、一番濃い3段目にセットしてあるため、これ以上濃くすることができません。そこでクリップの下にワッシャーをかませ、ニードルジェットの位置をさらに引き上げて燃料を濃く調整します。

 

使用したワッシャー寸法は、ホームセンターで一般的に販売されている3×8×0.5mmサイズ。0.5m厚なら、ちょうどクリップの段の半分くらいに相当するため微妙なセッティングを出すことができそうです。

キャブレターをワッシャーで調整

インプレッション

メインジェット#65・ニードルジェットワッシャー1枚・3段目の状態。メインジェット#68のときと大きな変化は感じられないものの、わずかに高回転が回るようになった模様。5速で55km/h付近まで伸びるのを確認しました。加速感も良好です。ベストセッティングとはいえないものの、まずまずの感触です。

 

ワッシャーでセッティングする際の注意点

ニードルジェットにワッシャーを挟み込んだ状態では、スロットルを微妙に開けた際に一瞬回転がもたつく症状が出るようになりました。スロットルをある程度開けてしまえば症状は出ません。そのため、発進でたびたびストールしそうになります。

 

原因はワッシャーでした。ワッシャを挟み込んだことで、スロットルバルブのニードルジェットが刺さっている穴から二次エアを吸い込み、瞬間的に燃調が狂ってしまうようです。現にスロットルワイヤーの上部をつまんで空気が入らないようにすると症状がおさまりました。

 

スロットルバルブのニードルジェットがついている穴付近を観察すると、上部にはザグリ加工がされており、ニードルクリップはザグリ内に密着する寸法になっています。追加したワッシャーではどうしても隙間ができてしまうようです。

 

この問題を解消するには、スロットルワイヤーブーツの気密を高めるか、ザグリとニードルワッシャーにぴったりと合った寸法のワッシャを用意する必要があります。

 

PB14には内径2mm×外形5mmのワッシャがジャストサイズです。この小さなサイズのワッシャはホームセンターでは売っていません。キャブレター調整用のシムか、ミニ四駆用のワッシャーが使えます。

ニードルにワッシャやシムを組み込むと

CVキャブレターは、新品状態でもスロットルバルブ周りの気密が充分ではありません。

 

ワッシャなどでニードルジェット周辺のわずかな隙間を埋め、気密を確保できるようにすれば、シフト操作時や発進時などの微妙なスロットル開度での燃調狂いが解消されレスポンスが向上します。

 

その代わり、エンジンブレーキ時のスロットルバルブ以降の負圧が大きくなるためシール類への負担が大きくなるようです。

 

キャブレター性能を維持するためには、スロットルワイヤーの留め金セット位置や、スロットルワイヤーブーツ、シーリングゴムの劣化にも注意を配りたいところです。

 

まとめ

結局、キャブレターは元のセッティング(メイン#65・スロー#35・ニードル3段)に戻しました。もとのセッティングは吹き上がりが明らかに軽く、5速の高負荷状態でもレブリミットまでしっかり回ります。燃費ももっとも良いはずです。

 

このセッティングでの高回転時の空燃比は、理論空燃比14.7:1のちょっと上くらいかと思います(と仮定しておきます)。

今回のテスト結果から、メインジェット#65と#68との差は、おおよそ空燃比の下限と上限に相当すると見当づけることができました。その中間付近に合わせるにはジェットニードルの高さ0.5mmに相当する調整が必要のようです。

 

このようにキャブレターセッティングする際は、どの部分を調整すると、どの領域がどれほど変化するか予想できる能力が欠かせません。

全体の燃調の濃い・薄いはもちろん、それがどのスロットル開度なのか、どのあたりの回転数なのかによって調整する箇所が異なります。

 

この勘所がキャブレターセッティングの難しさであり、ベストなセッティングを導き出すには、知識を身につけ、実際に何度もセッティングを繰り返して感覚を養うしかありません。

 

イグニッションコイル強化のおかげで、ある程度燃調が濃くとも薄くともしっかり着火してくれるようになりました。その代わり、セッティングが出ていない状態でもある程度調子よくエンジンが回ってしまうため、悪い箇所を把握しづらいのが難点です。

 

試せる残りのセッティングパターンは、これも以前は濃すぎて走れなかったメイン#65・スロー#38・ニードル中間のセッティング。過渡特性は、これが一番よさそうです。様子を見ながら、そのうち試してみようと思います。

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