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10km/h速くなるキャブレター改造【ディンプル加工】霧化促進で性能アップ

前回インマニのディンプル加工で得た経験をもとに、キャブレターの霧化を進めるべく、キャブレターに加工を施します。

結果は上々。50km/h以上は伸びなかった車速が60km/hを超えるようになりました。効果は認められるようです。

 

キャブレターにディンプル加工

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前回の記事で、インマニに施したディンプル加工で燃料の霧化が促進されるのではないかという仮説が浮上しました。

そこで、キャブレターに加工を施して霧化させれば、さらなる燃焼効率が改善できるのではないかと思い、少々リスキーながらキャブレター加工に踏み切りました。

キャブレターの霧化性能とメカニズム

エイプの純正キャブレターは、おもにスロー系統とニードル系統の2種類を使い分けることで燃料を供給します。

スロットル低開度の負圧が大きな状態では、スロー系統から燃料を供給します。

スロットルを開けるほど負圧は低下するためスロー系統の燃料供給量が低下し、代わりにスロットル開度に連動したニードル系統で燃料を増量する仕組みです。

しかし、この構造ではスロットルを開ければ開けるほど霧化性能は悪化するように思えます。

 

実際のところ、どのように燃料が流れているの?

霧化性能は、燃料への印加圧力と開放部の圧力差に依存します。

大気圧とエンジン負圧で駆動するキャブレターは、ポンプで加圧しているインジェクションのようにスプレー状にはなるはずもなく、霧化するのはほんの一部。

ほとんどの燃料はジェットから滲み出したのちに気化してエンジン稼働レベルの混合気を形成するものと思われます。

とくに流速が高まる高回転時は、液体のままシリンダー内に取り込まれ燃焼している場合があります。

ガソリンは液状では燃えないため燃焼ムラが発生します。そして燃え残ったガソリンは、窒素酸化物や炭化水素などの未燃焼ガスとしてエネルギーとして利用されないままムダに排出されていることになります。

 

ディンプル加工を施すとどうなる?

そこでディンプル加工の出番です。ディンプル加工は凹凸処理によって壁面に細かな乱気流がベアリングのような効果を発揮し、境界面の空気抵抗を低減させるための処理。

その凹凸形状は壁面を伝って流れる液状ガソリンがシリンダーに入るまでの到達距離および時間を稼ぐ効果と、凸凹によって発生する乱気流で液状ガソリンを飛散させ、霧化を促進させるふたつの効果が期待できます。

その結果、より霧状になった混合気をエンジンに吸入させられます。

そうだと仮定すれば、よりジェットの近い位置からディンプル処理した方が大きな効果が得られるはずです。

以上を踏まえてキャブレターにディンプル加工を施します。

 

リューターを使ってディンプル加工

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エイプの純正キャブレターPB14の出口直径はほんの小指大。ディンプル加工は一定流速以下では抵抗にしかならないため、加工は最小限に留める必要があります。

キャブレターの構造から予想される要件は以下のようになります。

①燃料供給穴が下面にある。

②燃料は放射状に広がる。

③燃料は空気より重い。

これらの事柄を考慮すると、液状ガソリンは吸気経路下側に溜まりやすいと思われるため、画像のようにリューターを使って、下側のみにディンプル加工を施しました。

もうちょっと奥から加工したかったのですが、リューターの刃先が短く、これが精一杯でした。

 

ディンプル加工後インプレッション

とくにトルクが増した感じや、レスポンスがよくなった感じはありません。回転域ごとの出力特性変化も感じられません。しかし、車速が伸びます。

今まで4速でも50km/h以上は伸び悩んでいた車速が、5速固定のまま60km/hまで到達するようになりました。

チェーンスプロケットはドライブ14T・ドリブン33Tに設定しており、ノーマルよりハイギアードになっているため、そのトルクの向上はかなりのものといえます。

速くなった様子は一切ないのに、実際は速いという不思議な感覚です。

「出力の立ち上がりがスロットル開度に忠実になった」といえるかもしれません。そのかわり、スロットルレスポンスはやや低下したようです。

バイク的なハイレスポンスはなくなり、自動車的な乗り味に感じられます。これが「燃焼状態がインジェクションエンジンに近づいた」と考えれば、今回の試みは大成功です。

 

ディンプル加工後は燃料が薄くなる

走行後スパークプラグを確認すると、焼け気味に変化していました。ディンプル加工後は燃調が薄くなるようです。試しにメインジェットを65Φから68Φに変更。

ディンプル加工前はメインジェット68Φにすると明らかに燃調が濃く、アクセル操作に対して遅れて加速していた症状がありました。しかし、ディンプル加工後はとくに違和感はありません。

気象条件や、以前交換したCDIの影響もあるため一概に言い切ることはできませんが、燃料は確実に薄い傾向に変化するようです。そして、ジェット交換後も依然としてプラグは焼け気味。

霧化が促進したことでシリンダーには、体積の小さな液状ガソリンが減る代わりに、体積の大きな気化ガソリンが入るため、総量的な空燃費は薄い方向へ変化すると考えればうなずけます。

キャブレターの再セッティングをして、大幅に燃調を濃くする必要になりそうです。

 

↓キャブレターディンプル加工後のキャブレターセッティングの記事です。燃料を増量するほどトルクフルになる感覚は貴重な体験でした。

後日、キャブレター出口全周にディンプル加工を施した記録です。

ついでにキャブレター掃除や、スロットルバタフライを外してしまうことでもパワーの向上が体感できます。