アイドリングの不調やキャブレターセッティングが決まらないなどの症状は、インテークマニホールド付近の二次エア漏れが原因かもしれません。ゴムパッキン(Oリング)交換でエイプ50の二次エア漏れを修理します。
二次エアとは
二次エアとは、正規の場所以外からエンジンに吸い込まれる空気を指します。とくにスロットルバルブとエンジン間で二次エア漏れが起こると、必要な燃料に対して空気量が増大するため、空燃費ズレが起こり吹け上がりの悪化や、アイドリング不安定などが起こります。
また、ターボ車では吸気圧力が漏れ出しブーストが上がらなくなります。キャブレター車ではいくら調整してもセッティングが決まらない事態に陥ります。
二次エア漏れの原因の多くはパッキンの劣化や、マニホールドの亀裂。そのほかにも、吸気経路のボルトの締め忘れや、ホースバンドの緩み、キャブレターのトップキャップの緩みなどの整備不良が原因の場合もあります。
二次エアの定義
エアクリーナーからキャブレター間での吸気漏れも二次エアと呼ばれます。この場合は燃調にはほぼ影響しないものの、チリやゴミをエンジン内に取り込むことになります。そのほか、排気ガスに空気を混合させて触媒作用を効率化させる二次空気導入装置などもあります。
二次エアとは、あくまで本来の経路ではなく、その良し悪しにかかわらず副次的な経路を通る空気を指します。
二次エア漏れチェック方法
二次エア漏れを起こしている場所は、エンジンをアイドリングさせた状態で漏れが予想される箇所にブレーキクリーナーを吹きかけることで確認できます。
吸気漏れがある箇所があると、ブレーキクリーナーががエンジンに吸い込まれ、アイドリングが不安定になったり、エンジンが止まったりします。
また、マニホールドやパッキンの熱膨張によって、特定の温度でのみ漏れが起こる場合があるため、冷間時と温間時の両方で確認しましょう。
ただし、ブレーキクリーナーには樹脂に対して攻撃性がある製品があるため、ゴム製パッキンの劣化を促進させます。極力、確実に漏れがあると予想される場合にのみ使用しましょう。
Oリング交換でエイプ50の修理
通常走行時は問題がなかったものの、急坂を下る際にエンジンブレーキを使うと回転が不安定になる症状がありました。また、信号待ちでアイドリング回転数が極端に低くなる時もありました。
この2つの共通するのは、インテークマニホールドに強い負圧がかかっている状態であること。これは明らかに二次エア吸い込みの症状です。
インシュレーターのゴムパッキン(Oリング)を確認すると、案の定、切れるほどではないものの小さな亀裂が入っていました。
この部分はエンジンが発する熱にさらされるため樹脂部品は硬化しやすく、経年劣化でヘタリやすい箇所。おまけにアイドリングやエンジンブレーキ時にはOリングに強い負圧がかかるため、もっとも二次エアが漏れやすい箇所です。
エイプ50キャブレター・インシュレーターの純正パッキン品番
交換方法は以下の動画で。以下動画内では、原因不明の品番間違いにも言及しています。
品番の誤植の可能性について言及されているのは、2分45秒からです。
部品名(エイプ50 PB14キャブレター用) |
ホンダ純正品番 |
インシュレーター Oリング (20.6×1.9) |
91304-GB0-910 |
キャブレター Oリング (25×2.4) |
16075-GHB-840 |
交換後インプレッション


アイドリングとエンジンブレーキが安定しました。また、低回転域でのアクセル付きがわずかに改善されたような気がします。
スロットルを開けるほどインテークマニホールドの負圧は小さくなるため、二次エア漏れの症状は高回転よりも、スロットル開度が小さい低回転域ほど大きな影響が出ます。
低回転域でのレスポンスの悪さを感じる場合は、インシュレーター周りのパッキンの亀裂もしくは、パッキンの潰れによってマニホールド内の気密が低下し二次エアを吸い込んでいる場合があります。
組み戻す際には、インシュレーターやインテークマニホールドの段差ができないように組み付けることで、わずかとはいえ吸気ロスを低減できます。
劣化が激しいインシュレーター用Oリングは、しっかり耐油性に配慮している純正品がベストです。
パワーアップが目的なら、穴径が拡大された既成品を選びましょう。こちらはゴムではなく紙パッキンを使用しているようです。