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エンジンを壊さないための適正回転数はどこ?【最大トルク発生回転数の真実】

設計で想定しない回転域の使用は確実にエンジンを壊します。また、低回転域を多用し続けるのもエンジンの寿命を縮めます。

バイク、車を問わず、個々のエンジンにはもっとも大きな力を発生させられる回転数が設定されており、この回転領域を維持して走らせるのが、エンジンに優しく、楽しく、快適な走らせ方です。

目次

 

高回転の多用はエンジンを壊す

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エンジンの回転数とは、クランクシャフトの1分間あたりの回転数であり、「rpm(Revolutions Per Minute)」の単位で表されます。

エンジンには必ず回転上限が設定されており、回転上限手前のレッドゾーンを超えるような過回転は当然エンジンにダメージを与えます。

とくにエンジンシミュレーションが十分ではない古いエンジンでは部分的に強度不足の箇所もあり、多くの部品の組み合わさってできているエンジンは、全ての箇所が均一に劣化するわけではありません。

回転数が高まるほどエンジン内の各部には大きな力が加わるため、過回転ともなれば、設計上の強度が不足している箇所から先に壊れやすくなります。

そのため回転数は低く保つほうがエンジンには優しいといえます。

 

低すぎる回転数の多用も問題が

一方、低すぎる回転数の多用もエンジンの劣化を早めてしまいます。

エンジンオイルの潤滑性能を最大限に発揮するには、摺動部にある程度の速度が必要で、カムシャフト山などは低い回転数ほど摩耗しやすい傾向にあります。

また、エンジントルクに対して外部から過剰な負荷が加わると、本来上下動するはずのピストンが横方向に逃げようとするため、ピストンリングやシンダー内壁が摩耗しやすくなります。

走行抵抗が極端に高まる急な上り坂の走行や、適切でないギアの選択による低速ノックなどがエンジンの過負荷の代表です。ガタガタと振動を起こしたり、エンジンをストールさせたりするのはエンジンによいとは言えません。

急斜面を登る際は低いギアにシフトダウンし、最大トルク発生回転数以上を保つのがエンジンへの負担が少ない走らせ方です。

ただし、エンジン冷却を車速に依存する空冷エンジンは、オーバーヒートによるダメージにも注意したいところです。

 

適切な回転範囲=トルクバンドを有効に使う

レシプロエンジンは、基本特性として極低速回転と超高速回転が苦手です。そして、エンジンにとって苦手な回転域では振動が大きくなる傾向にあります。

振動が発生するということはエネルギーをロスしていることと同義です。その発生振動により内部で共振が起こり、内部部品が破損する恐れもあります。

レシプロエンジンが得意なのは中回転域であり、変速機を活用してより大きなトルクを発揮できる回転域を維持するよう回転数をコントロールするのがレシプロエンジンの正しい扱い方です。この回転領域を「トルクバンド」といいます。

メーカーによるエンジンチューニングやオーナーによる吸排気のカスタムによってトルクバンドにあたる回転範囲やトルク値は変わるものの、おおよそカタログに記載される最大トルク発生回転数前後になります。

 

最大トルク発生回転数とは

最大トルク発生回転数とは、エンジンがもっと大きなトルクを発生させられる回転数をさします。言い換えれば、エンジン内部抵抗の総和がより小さく、エンジン充填効率がより高い回転数が最大トルク発生回転数です。

最大トルク発生回転数を保って走行するのがもっともエンジンにダメージが少なく、もっともパワフルで燃費性能にも優れた走り方といえるでしょう。

実走行時の最大トルク発生回転数は変動する

注意したいのは、カタログ等に記載された最大トルク発生回転数は、あくまでアクセル全開時の数値であるということです。

実際の最大トルクは吸排気管の内径と長さで変動するため、ハーフスロットル時の最大トルク発生回転数および発生トルク値はスロットル開度などによって変動します。

実走行における最大トルク発生回転数は、スロットル開度に応じてカタログに記載された回転数よりも低くなる傾向にあります。

そのため、低速ノックを起こさないように十分に加速できるアクセル開度を保ちつつ、カタログに記載された最大トルク発生回転数よりも少し下の回転数を維持して走るのがもっともエンジンに優しい走り方といえるでしょう。

具体的な回転数はバイクによって異なりますが、これはおおよそ、もっとも不快な振動が少ない回転領域です。

 

トルクバンドを維持して走ることの重要性

振動が少なく心地よいと感じる回転数がもっとも効率がよく、エンジンに優しい回転領域です。改めて意識せずとも、多くの人は無意識にそのアクセル開度に調整していることでしょう。

これはバイクだけでなく自動車でも同じです。エンジンがより効率よく稼働できるトルクバンド内の回転域は、ある程度スロットルを開いた状態でポンピングロスが少なく、燃費効率も良好です。

そのため、平地の巡航時はその回転数を保ったまま、一定速度で走行するのがもっともエンジンを長持ちさせる走らせ方と言えます。

とくにバイクは、トルクバンドの維持がコーナリングにも影響します。

傾いたバイクを起き上がらせるのはトラクション(車体を押し出す力)であり、トルクバンドを外しているとスロットルを開けても十分な加速ができないためバイクの総合的な運動性能を犠牲にします。

そのためバイクは車よりもトルクバンドを意識した運転が大切です。

エンジンを壊さないための適正回転数についてをまとめると以下の3点がポイントとなります。

  • 走行抵抗に対してエンジントルクに余力がある回転領域を使うこと。
  • 適切なギアを選択し、不快な振動が出ない回転領域を使うこと。
  • それ以外の回転域は極力使わないようにすること。

エンジンに優しく、楽しく快適にバイクや車を走らせるためには、この3つを意識することが大切です。

 

エンジンカスタムで街乗りがしにくくなる理由

エンジン周りのチューニングを進めていくと、どうしても最大トルク発生回転数が引き上がります。

その一方で、制限速度や騒音などの理由から常用回転数を引き上げることは難しいため、適正なエンジン回転数の使用率が低下するといった齟齬が起きがちです。

スーパースポーツのような特殊なバイクを除き、ノーマル状態のバイクはあえてピークパワーを抑えることで、乗りやすさや快適性、燃費やエンジンの寿命なども含めて公道で最適なセッティングに仕上げられています。

前述したとおり、アフターパーツの高効率マフラーやスポーツエアクリーナーへの変更は、吸排気管長や吸排気断面積などが高回転域での使用に最適化され、トルクバンドが高回転側にシフトしていきます。

その結果、低回転では燃焼効率が低下してトルクが細くなり、扱いにくいうえ、燃費が悪く、場合によってはエンジン寿命も縮める結果にもなりかねません。

自然吸気ガソリンエンジンが最大効率を発揮できる回転領域は意外なほど狭いのです。

パーツ交換もバイクの楽しみ方のひとつであるため「カスタムが悪」とは断じません。しかし、パーツ選びは構造をよく吟味する必要があると断言はできます。

とくに手を出しやすい吸排気カスタムにおいては、それぞれの管長と管断面積が性能の多くを支配しています。

このことを覚えておくだけで、用途にあったカスタムパーツが選びやすくなると思います。

 

↓金属表面改質があるベルハンマーやスーパーゾイルなどは、駆動ロスを減らして実質的にパワーアップが果たせる高性能潤滑剤です。燃費やエンジンフィーリングの改善に効果があることを確認しています。

 

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