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ホンダのバイク『エイプ』専門のカスタム・チューニング・メンテナンスブログ

緊急事態発生!エイプでガス欠をしたときの裏技【燃料コックの使い方も】

ガス欠を起こしました。原因は「RES」と「ON」の認識間違いです。

でも大丈夫。エイプにはリザーブ容量燃料のさらに先の、知らざれる秘密の裏技的なエマージェンシー容量が隠されているのです。ガス欠についてと、エイプの燃料に関するあれこれをまとめました。

 

ガス欠とは

out-of-gas

ガス欠とは燃料切れの状態です。内燃機関エンジンは燃料がなければ稼働することができません。ユーザーフレンドリーなスクーターを除くキャブレター式の小型バイクのほとんどは、リアルタイムで残量がわかる燃料計は搭載されておらず、もちろんエイプにも搭載されていません。

 

そのかわり、燃料コックの切り替えによりにリザーバー(予備)容量が備わり、燃料切れを防げるように配慮されています。いざ燃料切れをおこしても、小型バイクなら押して歩くことができますが、押し歩き困難な大型バイクは即ロードサービスです。

 

ちなみに、高速道路上でガス欠や故障などで停車すると道路交通法違反です。「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」の罰則で2点の反則点と、普通車9,000円・二輪車7,000円の反則金が科せられます。

 

ガス欠の影響

ガス欠は単純に燃料がなくなってエンジンがかからなくなるだけではありません。燃料圧送系の装置は燃料自体を冷却媒体に使用しているため、四輪・二輪問わずインジェクション車は燃料ポンプやインジェクターの空打ちを起こし、装置の寿命を著しく低下させます。

 

また、高圧縮比エンジンや、点火時期を進めたチューニングマシンなどは、燃料切れで燃調が薄くなった瞬間にノッキングが発生する場合があります。高回転でヘビーノックが発生すれば最悪はエンジンブローに繋がります。

 

とくに四輪は、燃料が少ない状態では燃料の偏りによる圧送ミスも問題になるため、燃料が少ない状態でサーキット走行のようなG(重力加速度)をかける運転をするとエンジンにダメージを与える可能性があります。

 

幸い、キャブレター車で極平凡な性能のエイプのエンジンは、ガス欠が起きてもただの燃料切れで済みます。ただし、走行中の急なエンジン停止は安全上の観点から大変危険な行為であることには変わりがありません。

 

エイプの燃料系統データ

適用

値(エイプ100タイプDカタログより抜粋)

燃料タンク容量

5.5L

リザーバー容量

0.7L

満タン時航続距離(概算・参考値)

302.5km

 

エイプの燃料タンク容量は5.5L、リザーバー容量は0.7Lです。リザーバー容量の切り替えは、燃料コックの「RES」と「ON」で切り替えます。

 

ただし、この燃料コックが曲者です。「RES」と「ON」の意味を履き違えると思わぬ燃料切れトラブルに陥る恐れがあります。

 

「RES(リザーブ)」は、「リザーブのバックアップ機能を使う」ではなく「リザーブ容量を使う」が正解です。「ON」の方が「リザーブのバックアップ機能を『ON』」です。

 

「OFF」はそのまま燃料カットです。エイプ50FIには「OFF」機能は備わっていません。

honda_ape_fuel-cock_off
honda_ape_fuel-cock_on
honda_ape_fuel-cock_res
左からOFF・ON・RES

エイプでガス欠を起こしたら

エイプには、リザーブを使い切った後でもガソリンを確保できる秘密のエマージェンシー(緊急事態)容量が備わっています。

 

エイプの燃料タンクは下部が2室に分かれているため、燃料切れになっても右側(ブレーキペダル側)には燃料が残っています。右側の燃料をコックがある左側に移動できれば少量ではあるものの燃料が確保できます。

 

リザーバー容量を使い切っても「チャプン」と燃料タンクから揺れた燃料がタンクを叩く音がするはずです。

 

12mmのレンチとシートを外せる工具があれば、タンクを一度外し、右側の燃料を左側に移動させれることで、少量のガソリンは確保できます。

 

もし工具がない状態で、出先でリザーバータンクの容量を使い切ってしまったら、バイクを左側(シフトペダル側)に水平近くまで倒してから起こしましょう。そうすることで左燃料室から右燃料室にガソリンを移動させられます。

 

実験では、おおよそ50mlほどのガソリンが確保できました。リッターあたり50kmの燃費で計算すると、2.5kmほどは走行できます。ちなみに、ガス欠になった状態でタンクに残っている総量は100ml強ほど。ただし、実際に使えるガソリンは賞味50mlほどが限界のようです。

honda_ape_out-of-gas

右燃料室から左燃料しつへガソリンを移動させるために車体を倒す。その際、シフトペダルを地面につけないように注意!

 

エイプを倒す際の注意点

車体重量90kgほどの軽いエイプを倒して起こすのは容易です。おまけに燃料も空になっているため、さらに楽に起こせます。ただし、倒す際には車体、とくにシフトペダルを地面につけないことが大切です。

 

車体を地面に付けると車体がキズつくのに加え、シフトペダルのシャフトが押されることでエンジン内部が破損し、分解しなければ元に戻せなくなるとの情報があります(情報元未確認)。

 

幸いなことに、エイプ純正の長く丈夫な非可倒ステップを軸にすれば、エイプは車体を地面につけることなく水平まで倒すことができます。

 

しっかりと車体を保持しながら、ダメージを負わせることなくエイプを倒し込みましょう。ノーマルエイプは、まるでこのように使うと設計されたかのように、燃料切れによる完全スタックを回避できます。

 

まとめ

ガス欠になったときの走行距離は300km強。皮肉にもカタログの航続距離とほぼ同じ走行距離でガス欠に至りました。

 

燃料を減らして燃料タンクのメンテナンスするために、あえて給油を行わなかったのですが、「RES」と「ON」の勘違いにより、路上で痛恨のエンコ(エンジン故障の略、転じてエンジントラブルの総称。死語)となりました。

 

最低限、12mmのレンチとシートを外せる工具は持ち歩きましょう。また、リザーブタンクがあるとはいえ、急にエンジンが停止するのは大変危険です。

 

ガス欠を根本的に回避するためには、燃料1Lあたりの走行距離を把握したうえで、早めに給油をすることが大切です。燃料コックの正しい使い方も事前に確認しておきましょう。

 

燃料タンクを空にすると外気が侵入しやすく、結露によって水が溜まってサビの原因にもなるため、常に満タン状態にしておくのもカス欠対策には有効です。

 

定期的にタンクの水を抜きましょう

もしタンク内の燃料が極端少なくなったら、燃料タンクのメンテナンスができるチャンスです。給油をする前に内部に溜まった水ごとタンクの燃料を排出してしまいましょう。

 

水抜き剤をつかってもタンク内の水は完全に抜けません。タンクをひっくり返して、物理的に抜いてやるのがもっとも確実です。以下の記事はガソリンタンクを外して、水を完全に抜いた際のメンテナンス記録です。

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