購入後、最低2年間ほったらかしだったメーターギアとワイヤーのグリスアップをしました。
引き回しの不備やメンテナンスを怠ると、サビたワイヤーが切れて最悪スピードメーターが動かなくなりますが、早い段階で洗浄・グリスアップすれば大事に至らずに済みます。
タイヤ交換やフロントフォークのオーバーホールなどと同時に行なうと効率的です。
メーターギアのメンテナンス
メーターギアは機械式メーターを駆動させるためのパーツです。ギア内部はタイヤ回転と同期するギアからウォームギアに伝えられ、ワイヤーを介してメーターを駆動させます。
内部は金属摺動面が多いため、ギアやワイヤーのグリスが切れると異音が発生します。手でバイクを押してフロント周りから「キコキコ」と音がするようならメーターギアのグリス切れを疑いましょう。
ちなみにフロント周りから「シャンシャン」と響いて鳴るのは、多くの場合ブレーキディスクにパットがかする音であり正常です。
分解・洗浄
アクスルシャフトを外し、メーターギアに繋がるワイヤーの勘合部をプライヤーなどで回して外せばメーターギアが外れます。ギア裏面のCリングを外せばメーターギアは分解可能。内部のゴムシールは傷つけないように慎重に外しましょう。バラバラに分解して、古いグリスを落とすためにパーツクリーナーで洗浄してからグリスアップするだけです。
メーターギアのグリスアップ
ギアの噛み合い部をはじめ、摺動部はしっかりととグリスを塗りつけましょう。メーターギアはバイクの性能にほぼ影響しない場所であるうえ、グリスを多量に使うため安価なグリスがベターです。
内部に浸水することはないと思われますが、水がかかりやすい場所であるため耐水性のあるグリスを使います。水で流れやすいと噂のモリブデングリスは避けます。金属面の潤滑性に劣るシリコングリスもNGです。カルシウムグリスやリチウムグリスなどのごく一般的なグリスがよいでしょう。
今回ギア内部には、いつも使うリチウム系のスーパーゾイルではなく、ホームセンターでチューブ売りされているウレアグリスを使いました。
元通りに組み付ければ作業完了です。内部のグリス量が増えたことで、手で回したときの回転にやや抵抗感が増しました。とはいえこの程度の抵抗はエンジンにとって微々たるものでしょう。
メーターワイヤー(メーターケーブル)のメンテナンス
アウターチューブとインナーワイヤーで構成されるメーターワイヤーは、チューブからワイヤーを抜き取って分離し、洗浄とグリスアップをします。
ワイヤーの抜き取り方は、メーターギア側から引き抜くだけです。ギア側には小さなワッシャーがついているためなくさないように注意しましょう。
取り出したワイヤーにはうっすらとグリスが残っていたものの、ワイヤーが湾曲してアウターチューブと擦れていた部分はサビが浮いていました。
洗浄&グリスアップ
アウターチューブは樹脂製であるため、樹脂を侵さない(はず)のチェーンクリーナーで内部を洗浄・乾燥後、シリコンスプレーを吹き付けておきました。ワイヤーのサビはブレーキクリーナーで洗浄して拭き取るだけで落ちるほどの軽いサビでした。
ワイヤーにはスーパーゾイルグリスを全体にうっすら塗ってグリスアップ後、メーターに組み付けて作業完了です。ワイヤーをギアに差し入れる部分にもグリスを塗布しておきましょう。
メーターワイヤーの引き直し
メーターワイヤーは極力曲率をすくなく引き回す必要があります。屈曲するほど、屈曲部が多いほどアウターチューブとインナーワイヤーが擦れるため、グリス切れによってワイヤーが痛みやすくなります。ワイヤーの引き回しを最適化することでワイヤーの劣化を抑えることができます。
ベルハンマーも使える
後日、ウレアグリスからベルハンマーへ交換するとメーターギアの回転抵抗の低減が確認できました。
メーターギアは通常のグリスではやや硬いようで、もっと柔らかいグリスでも十分でしょう。
抵抗が低減できたとはいえ、元々メーターギアは大きな力が掛かる部分ではないため、走行性能への影響はほとんど見られません。
それでもメーターギアおよびワイヤーのグリスをベルハンマーへと変更したことで、走行中に発する騒音がわずかに小さくなっていることが確認できました。
私見では、水で流れ落ちない程度であれば、もっと柔らかいオイルでも十分機能を果たしてくれると思います。
まとめ
メーターワイヤーが切れてスピードメーターが動かない状態は保安基準違反です。一度メンテナンスすれば数年単位で保つと思われるため、メーター周りやフロントフォークのオーバーホールなどの作業と同時に行ってしまうことをおすすめします。
ヘッドライトを開けたついでに、暗いことで有名なニュートラルランプなどの電球を、しっかり奥まで差し込んでやると、白昼でも確認できる程度には視認性が向上します。
↓ベルハンマーをチェーンやホイールベアリングに使用し、パワーや燃費改善の効果を検証しました。