私のエイプは乗り心地の悪さが悩みのタネ。小型バイクとはこんなもの? これでは自転車の方がまだマシです。
そこで乗り心地改善のためにサスペンションリンクのグリスアップを敢行。その結果、乗り心地は劇的に改善しました。
乗り心地が悪い!
中古で購入した私のエイプは乗り心地悪さが悩みの種。わずかな路面の凹凸を乗り越えるだけでも突き上げを感じ、荒れた路面は腰を浮かさなければ乗っていられないほどです。
感覚でいえばレーシングカートと同程度。アトラクションとしてなら楽しめますが、移動目的では自転車の方がまだ快適です。
ギャップを見つけるたびに、衝撃に備えて身体はこわばり、回避しようと蛇行運転。これでは移動の足として利用するには少々問題です。
バイクに乗ったことがないため、乗り心地の基準がわかりません。小型バイクとはこんなものなのでしょうか。この立派なサスペンションはただの飾りなのでしょうか。
よくよく調べると、バイクにはリンク機構というものがついており、リンクブッシュのグリスが切れると乗り心地が悪化するとのこと。サスペンションダンパーの交換に踏み切る前にグリスアップをして様子をみます。
エイプのリアサスペンション構造
エイプやその他のバイクに採用されているリンク機構は、スイングアームとテンションロッドを三角形のリンクを介してダンパーに伝える可変レバー比構造をしています。
アームがストロークすると、ダンパーを支持しているリンクピボット位置が下がるため、アームの上下動に対して、サスペンションは非常に小さくゆっくり動くようになっています。
また、上下2本のアームを用いて支持することで単純な円運動ではなく、垂直移動に違いジオメトリーにすることでストローク時のホイールベース変化を抑えているようです。
車とは異なり、絶対ストローク量の短いダンパーでもストローク量を稼ぐために考え出された構造なのでしょう。
そのぶん、低いピストンスピードでもしっかりと減衰力を発生できるダンパーでなければ、良好なダンピング性能を発揮することは難しいのではないかと思われます。
スイングアームをグリスアップ
サスペンションリンクにグリスアップをするためには、スイングアームを外さなければいけません。
そして、スイングアームを外すためには、左右のステップおよびリアブレーキリンクも外さなくてはいけません。
さすがに固定しなければ横転の危険があるため、適当な高さの台にエンジン下部を乗せて車体を安定させます。自動車用のパンタグラフジャッキも利用すると確実です。
センタースタンドがあるバイクか、人力で持ち上げられるエイプでなければバイクのグリスアップはなかなか難しい作業です。
これだけアフターパーツが多いエイプにもかかわらず、センタースタンドのラインナップがないのが不思議でなりません。
準備ができたらひたすら分解と清掃。外観やリンク内部はそれほど汚れていないため、わりと年式が新しく、手荒には扱われていない個体のようです。
それでも一部のリンクカラーはグリス切れでカジリが発生し、サビていました。今回は部品交換はしませんが、次回は新品部品でリペアしたいところです。
カジリがひどかったのは、テンションロッドのリンク側。次にリンクとスイングアームをつなぐ部分のカラー。他の部分はそれほどでもありませんでした。
荒れた摺動面を真鍮ブラシや紙ヤスリで磨いてからグリスをさします。グリスは定評のあるゾイルの金属面改質グリスを使用しました。これだけカジリついた面でも改善するものなのでしょうか。
グリスを摺動面に塗りたくり、さらにカラーやボルトがフロート状態になるようにグリスを充填してやります。
スイングアームとテンションロッドなどの長めのピボットには中央部にグリス溜まりがあるため多めに充填すべきでしょう。そして、ボルト類にもグリスを塗りながら組み付け、もとにもどして完成です。
作業時間は3時間ほどでした。
実走【足回りがよく動くようになり乗り心地が改善】
グリスアップをして組み付けた状態では、分解したときよりもリンクの動きに固さがありましたが、完了後にシートに座ったまま上下に揺すってみるとサスペンションの動き出しがスムースになっているのがハッキリとわかります。
突き上げの衝撃に怯えていたいつもの通り道を走行すると、フラットライドとはいかないものの、明らかに乗り心地が改善しています。
安心してスロットルを開けられるようになり、中長距離の移動も非常にラクになりそうです。
とはいえ数kmも走れば乗り心地のよさに身体が慣れ、当初の感動は薄れてしまいます。
しかし、大きな段差を越えても、予想より遥かに小さなショックに収まり、しっかりとサスペンションがいなしてくれるのがしっかりと体感できるようになりました。
次は、ダンピングのまったくきいていないフロントフォークと、引っ掛かりのあるステムベアリングのメンテナンスに着手します。
ODO 715km
↓愛用の高級リチウム系グリスです。2年経ってもグリスが残っており、各部の劣化もしっかりと抑えてくれます。
約2年後、2021年春に再度グリスアップ&フロントフォークのオーバーホールをしました。走行頻度によりますが、一度グリスアップすれば概算3年程度であれば保つようです。
↓ミニバイクのトルク管理にはデジタルトルクレンチがおすすめです。TONEのハンディデジトルクなら、これひとつあればエンジンを除く車体すべてトルク管理ができます。