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形状の違いでここまで変わるか!? フロントフォークのスラストベアリング仕様変更

フロントフォークに装着していたスラストベアリングをコロ(ニードル)タイプからボールタイプに仕様変更しました。結果からいえばコロタイプよりボールタイプの方が明らかに勝っています。1年半で約1,000km走行した状態のコロタイプのスラストベアリングと水道管(塩ビ管)カラーの劣化具合も併せて、その一部始終をレポートします。

 

スラストベアリングの効果とは

コロタイプのスラストベアリング

フロントフォークにスラストベアリングを入れることで劇的に乗り心地が改善します。そのメカニズムに関しては以前のブログをご覧ください。

ただし、以前に導入したのは「ニードルベアリング」と呼ばれるコロタイプのベアリング。それでも十分に効果が体感できたものの、ボールベアリングの方も試してみたいと思い、スラストベアリングの仕様変更に至りました。

購入したボールタイプのスラストベアリングを手で回すと、短時間とはいえ慣性で回り続けるのに対し、以前のコロタイプはスラスト方向になめらかに回るもそこまでスムーズではありません。

これだけ小さなベアリングではコロが回っているかどうか疑わしく思えます。少なくとも摺動抵抗が少ないのは明らかにボールベアリングの方です。

 

スラストベアリングおよび塩ビ管カラーはどれくらいで劣化する?


2021年4月にコロタイプのスラストベアリングを導入し、それから1年半が経ち約1,000kmほど走行しました。スラストベアリングの交換に際して劣化具合も確認しておきます。

とはいえ、心配していたスラストベアリングおよび水道管カラーの破損や磨耗劣化はみられませんでした。

ベアリングの方は小さいながらもコロはしっかり機能しているようで、簡易目視では破壊や偏磨耗、サビはありませんでした。翌5月に交換した塩化ビニール製の水道管カラーもフォークオイルに浸されながら1年半使用してもなんら変質や破損みらません。

通常走行であれば、おそらく最低3年程度は使えるでしょう。これなら消耗部品として考えなくてもよさそうです。

 

ボールベアリングのスラストベアリングに交換

スラストベアリングの装着方法は以前のブログをご覧ください。今回は単純に現在ついているベアリングを交換するだけです。ただし、コロタイプの厚さ4mmに対して、用意したボールベアリングタイプは厚さ9mm。薄いコロタイプと違い、厚いボールベアリングタイプはプリロード調整をしなければ装着自体ができません。

今回は両者の純然な違いを確かめるために新たに塩ビ管を切り出し、現在のプリロード同じになるように調整しました。塩化ビニール製の水道管なら、どこのホームセンターでも安価に購入できるうえ、パイプカッターさえあればものの10分程度でカラーをつくることができます。

水道管カラーの作り方やインプレッションおよびプリロード調整等の詳細は以前のブログをご覧ください。

 

 

ボールタイプ・スラストベアリングのインプレッション

正直それほど期待はしていませんでした。しかしコロタイプとボールタイプでは驚くほどの変化がありました。車体のピッチングが明らかに少なくなくなり、フロント周りが落ち着いた感じに変わったのが第一印象です。

シフトチェンジはもちろん、バイクはスロットルのオン・オフやブレーキ、路面の凹凸による揺れなどで絶えず前後に揺れ動いています。ボールタイプのスラストベアリングによってフロント周りの上下動きが極小になったため、加速時はフロントのリフトアップが押さえられ、リアサスペンションだけが沈み込んだように感じられるため、よりスムーズに加速やシフトアップができるようになりました。

それは減速時でも同様で、ブレーキングしながらのシフトダウン時に、たとえ回転が合っておらずともピッチングモーションはほとんど起きず、フロントアクスルは終始落ち着きと安定を保ったままです。(これまでは車体が前後に揺れ、どれだけブリッピングがヘタクソか思い知らされました。)

また、速度を問わず、路面からの微妙な突き上げもなくなったためハンドルの振動が減ったというか、ハンドルから伝わる路面の手触りが滑らかになったように感じられます。

コロタイプではフロントアクスルがマットの上を走っているような感覚が、ボールタイプではマットの表面がシルクに変わったような滑らかさです。

これらフロントフォークの上下動が、スラストベアリングの低抵抗化によって微細な上下動まで吸収してくれるようになったためと思われます。

 

効果はコーナリング時にも体感できる

コーナリング時のフロントは盤石の安定。そのぶんバンクさせながら大きな駆動力をかけると相対的にリアタイヤの滑り具合がよく分かるようになりました。

もちろんこれはドリフトのように露骨に滑らせるわけではなく、グリップ状態での滑り量です(タイヤはグリップしていてもミクロ的視点ではわずかに滑っています)。

フロントタイヤとリアタイヤのグリップレベルに差ができたせいか、フロントへの意識が薄れたせいかは不明瞭ですが、これまで以上にリアタイヤのグリップ感覚が掴みやすくなりました。

さらに驚くべきは、これらの変化はノーマルからの変更ではなく、すでにコロタイプのスラストベアリングを装着している状態からの変化だということです。ベアリングの形式による、ほんのわずかな摺動抵抗の違いがここまで変化をもたらすとは思いもしませんでした。

 

その一方でデメリットも

乗り心地や安定感が高まった代わりに、フロントアクスルの動きが穏やかになりすぎ、荷重ががかかるまでに時間がかかるようになったこともハッキリとわかります。意図的に起こした微細な荷重移動までボールベアリングが吸収するようになりました。

とくに障害物回避など緩やかなスロットルオフからの舵が効き始めるまでにもラグが発生し、わずかに俊敏性が低下したように思えます。とはいえ、これは突き出し量とプリロードの調整である程度改善できるでしょう。

ボールタイプのスラストベアリングはコロタイプに比べてバイクのセッティングを一変させるほほどの変化をもたらします。

プリロードを合わせただけの導入では、乗り心地が良くなりツアラーバイクとしての特性に変化するようです。しかし、動きが緩慢になるためスポーツバイクの性格は薄れてしまうように思えます。

これは四輪でよく言われる「(エンジンパワーに対して)足まわりが勝っている状態」と同じといえるでしょう。車よりも「Fun To Drive」ならぬ「Fun To Ride」の割合が大きなバイクだけに、足が勝ちすぎた状態はバイクの姿勢変化が少なくなるため、操作のダイレクト感やドラマチック感に欠け、よけいににつまらない乗り味に変化するようです。

このボールタイプのスラストベアリングを組み込んだ足周りは、原付一種にはオーバースペックのようです。もっと上手く、もっと楽しく使うには、もっとパワーとスピードが必要と感じました。

 

まとめ


乗り心地はおろか、バイクの性格すら変化させてしまうフロントフォークのスラストベアリングは、ほんの数百円の出費でできるコストパフォーマンスが高いチューニング手法です。

手軽にスラストベアリングの効果を体感したいならコロタイプがおすすめです。ニードルベアリングなら4mmほどプリロードは過剰にかかりますが、そのまま装着するだけでも効果は体感できます。

プリロード調整ができるなら、ボールタイプのスラストベアリングの方が乗り心地に関しては明らかに勝っています。用途と求める性能に応じてベアリングも使い使い分けるとよいでしょう。

安価かつ加工しやすい水道管をカラー代わりに使えば、プリロード調整も容易になります。水道管カラーは、今回の検証で通常走行では耐久性の心配もほぼ必要ないことが分かりました。

もっと大型のコロが使用されているニードルベアリングを使えるバイクなら、ボールタイプとの変化量はそれだけ小さくなるでしょう。エイプのようなフロントフォーク径が小さなバイクに関して言えば乗り心地がよくなるのは絶対的にボールベアリングの方です。

 

使用物品

↓今回使った乗り心地優先のボールタイプ・スラストベアリングです。しっかり2個入り。費用は600円台。(2022年11月6日時点)

↓以前使っていたコロタイプのベアリング。乗り心地と俊敏性を両立するならこちら。ちゃんとワッシャーも付属します。費用はこちらも700円弱です。(2022年11月6日時点)

↓パイプカッターと言えば定番のSK11。エイプのフォークなら1,000円弱で買えるミニサイズで十分です。水道管はホームセンターで購入しましょう。1mあたり数百円です。

↓スラストベアリングが組み込めないリアサスペンションには、アレを使うことで同じ要領でスプリングの回転摺動抵抗を軽減できます。

↓スプリングシートを純正サスペンションに組み込むのは大変です。おまけに上等なサスとはいえないため社外サスペンションへの交換をおすすめします。

↓乗り心地をいじするためにはリアサスリンクの定期的なグリスアップも大切です。

↓中国製フロントフォークのオーバーホールの様子です。

↓ホイールバランスも乗り心地や操作性に関わります。とくにエイプ純正鉄ホイールはバランスが劣悪です。 

 

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