エイプ@ログ

ホンダのバイク『エイプ』専門のカスタム・チューニング・メンテナンスブログ

エイプとネコとキャブレターセッティング

前回のニードルクリップの位置変更実験で、燃調を濃くするとパワーが出ることがわかりました。発注していたジェットが届いたので、あらためてキャブレターのセッティングをしていきます。

 

現在のキャブレターの状態

メインジェット #65
スロージェット #35
ニードルクリップ位置 3段中の下
エアスクリュー 1と1/2回転(1.5)回転

 

ニードルクリップ位置を中から下に変更すると、中・高回転では車速が伸びるものの、スロットルレスポンスが明らかに鈍ります。また、アイドリングより少し上の回転(2,000rpm付近)で回転の引っかかりが発生しました。

 

純正キャブレターのPB14はニードルテーパーが強いため、スロットルを開けた瞬間の燃料噴射量が増え、燃調が濃過ぎる模様です。そのわりに、高回転域でのスパークプラグは焼けすぎを示しておりメインジェットの限界量であることが想像できます。

 

キタコのスロージェット#38とメインジェット#68が届いたのでキャブレター調整をしていきます。

f:id:halu-blues:20190810170808j:plain

ニードルクリップ中間・スロージェットを#35➝#38に変更

手始めにニードルクリップの位置を中間位置に戻し、スロージェット変更しました。気のせいかも知れませんが始動性が向上したように感じます。

暖気後、空ぶかしをすると、2,000rpm付近でのひっかかりは解消。走り出してみると、レスポンス・トルクともに良好。

 

ニードルクリップを下げた状態よりも中間域でのトルク感は薄いものの、それ以前にくらべれば全回転域でトルクが増しているのが感じられます。もっとも変化が大きかったのは高回転。どれだけ開けても7,000rpm付近までしかまわらなかった回転数が、8,000rpmを越えても回ろうとします。

 

中回転維持後のプラグチェックの結果はガイシは真っ白で焼け気味。まだ燃料が薄いのでしょうか?


いやしかし、イリジウムプラグは焼け気味に結果が出るときいたことがあります。正確な状態を確認するために、ノーマルプラグに交換してプラグチェックをすることにしました。

 

同じように走行テストをして再度プラグチェック。低回転維持後のプラグ状態はガイシがやや濃いめの茶色で、接地電極にカーボンが付着しています。高回転維持後のプラグ状態は、接地電極のカーボンが飛び、ガイシは灰色。良好な結果です。

 

ニードルクリップ中間・スロージェットを#38・メインジェット#68

スロージェットを#38に変えただけで満足いく結果がでましたが、せっかく購入したメインジェットも試してみます。

 

メインジェットはジェットニードルの最大噴射量を決めるため、始動性・出足のトルクはもちろん変化なし。

しかし、3,000rpm以降の全回転域で滑らかに回るようになった印象。回転数とスロットル開度における出力差がなくなった感じです。おまけに、しっかりと8,000rpmまで回ります。

 

しかし、スロットルレスポンスと回転上昇が若干鈍くなった気がします。加速増量中の燃調が適正から、やや濃いめにズレているものと推測されます。

 

スパークプラグの焼け具合は、それぞれの回転域ごとに確認しましたが、ほぼ変化はみられず。高回転ではどちらかというと焼け気味です。そもそも高回転ですし、とくにノッキングを起こしている気配もないため、これが正常なのでしょう。

 

ジェット径#65から#68のような小さな変更は、あくまで最終調整レベル、あるいは製品誤差レベルの違いなのだと思われます。


原因はスロージェットの詰まり?

購入したスロージェット#38と、もともとついていた#35を比べると穴をのぞいてみると径がだいぶ違うことに気が付きました。燃料が薄い原因は、単純にスロージェットが詰まっていたものかもしれません。

 

スロージェットの流量を決めるはずのエアスクリューが機能していなかったことから、その可能性は大です。

 

スロージェットの清掃も試みましたが、スロージェットは単純な筒状ではなく、なかは意外と複雑で完璧に清掃するのは困難と判断し、スロージェット交換に踏み切りることにしました。

そもそもエンジンと吸気系統はノーマルであるためキャブレターのノーマルセットからズレること自体がおかしいはずです。


最終セッティング

現在のキャブレターの状態

メインジェット #65
スロージェット #38(キタコ)
ニードルクリップ位置 3段中の中
エアスクリュー 1と1/2回転(1.5)回転

 

メインジェットは#65に戻しました。スロージェット交換後はエアスクリューの変化がわかるようになったため、アイドリングがもっとも高くなる1と1/2回転で固定し、アイドリングスクリューを1,500rpm強にセットして完了です。

パワーアップしたというよりは、ノーマルの状態に戻ったと言うべきなのでしょう。

 

雑感

セット前は4,000rpm/30km/hが巡航がちょうどよく感じていたのですが、不思議なことにセッティング後は5,000rpmが、もっとも心地よく感じるようになりました。

おかげで5速にシフトし忘れることが頻繁にあります。

 

四輪車にもいえることですが、速度を意識しない状態では、誰もが特定のエンジン回転数に落ち着くようにスロットルを固定する傾向があります。

体感速度やマフラー音量、エンジン振動など、諸々のパラメーターを総合的に判断し、もっともバランスがよい状態を維持するのだと思われます。

 

強いていえば、もっともよい燃焼状態の回転数を、無意識で感じ取り、維持しているのかもしれません。もしそうだとすれば、今回キャブセッティングをしたことで、最適な混合比が1,000rpm上にシフトしたことになります。

 

逆をいえば、それ以外の回転数では最適な混合比をわずかにハズしているのかもしれません(現に、3,000〜4,000rpmはやや不快に感じるようになりました)。

 

インジェクションならともかく、キャブレターを満足いくまで合わせ込むにはジェットニードルを自分で削り出す必要がありそうです。

今度はニードル位置を下げて、過渡特性がどのように変化するのか試してみたくなりました。

 

↓作業観覧者

f:id:halu-blues:20190810170840j:plain

 

 ↓2020年春におこなったキャブレターセッティングの記録です。

↓正確にキャブレターセッティングを出すには、キャブレター以外の箇所が正常でなくてはいけません。大きく影響するのは点火性能と二次エア漏れ。電気配線の端子磨きとインシュレーターパッキンの交換方法を解説しています。

↓ディンプル加工後のキャブレターセッティングの変更点と変化をまとめている記事です。

このブログの記事一覧へ移動