結局なにをしても直らなかった6,000rpmからのレブリミッター症状。発注していたエイプ50用純正CDIが届いたので交換します。どうやら失火の原因はCDIの故障だったようです。
目次
CDIが劣化するとどうなる?
CDIとは、「キャパシター・ディスチャージド・イグニッション」の略称であり、蓄電した電気を点火時期に応じて放電する装置です。
車種によっては電気の整流や昇圧もおこない、一次電圧としてイグニッションコイルへ受け渡し、さらに昇圧した二次電圧によってスパークプラグで放電現象を発生させます。
短時間で燃焼させる必要のある高回転ほど強い火花が必要です。また、より高圧燃焼になりがちな高回転になるほど着火させづらい環境になります。
点火系統の各部が劣化すると、電圧低下を引き起こし、スパークプラグの放電が弱まるため着火性能は低下します。以上原因により、今回の6,000rpm以上が回らない症状に発展したと考えます。
CDIと点火時期の関係
CDIが司る重要な役割に点火時期制御があります。点火時期とは、呼んで字のごとく点火のタイミングのことを指します。
圧縮上死点を0として、点火時期を早めることを進角(アドバンス)。遅らせることを遅角(リタード)と呼びます。
混合気が爆発するのには一定の時間がかかるため、ゼロのタイミングで点火したのでは爆発力を受け止めるべきピストンがすでに降下を始めているため、のれんに腕押しのごとく爆発エネルギーをロスしてしまいます。
それを見越して、点火時期を進めて早めに点火することで爆発エネルギーをロスなくピストンがうけとめパワーがあがるというのが点火時期進角の仕組みです。
高回転になるほどピストンスピードが速くなるため、原則としてパワーを出すには高回転ほど点火時期を早める必要があります。
点火時期を進めるとパワーアップする?
回転数に応じた点火タイミングを決定しているのがCDIの役割の一部です。
しかしパワーが上がるからといって点火時期を早めすぎると、今度はピストンが上死点に達する前に爆発が起きてしまい、爆発力とピストンの上昇エネルギーが相殺し合い、運が良ければエンジンはストップ、運が悪ければエンジンブローにまで発展します。
高回転域で点火時期を進めすぎた場合は、爆発して膨張している圧力をピストンがさらに圧縮することになるため、圧力過剰によって発生した圧縮熱はエンジン内部を溶かすほどの温度となるうえ、発生した超高圧によりエンジンが吹き飛ぶほどの損傷につながる恐れがあります。
しかし、燃焼時間は混合気の濃度や圧縮圧力などで変化するため、とくに燃焼状態が不安定なキャブレターでは、全回転域で完璧なタイミングで点火するのは不可能といえるでしょう。
そのため、キャブ車はある程度安全領域を確保した点火時期に設定しなければ、いとも簡単にエンジンを壊してしまいます。
怪しいCDIを交換
6,000rpmでレブリミッターが効いたような故障の原因はCDIにあるものとして、現在付いている社外パーツの「タケガワハイパーCDI」を、信頼における純正中古CDIに交換します。
純正とはいっても、エイプのCDIは50ccと100ccでは仕様が違うとのことです。
全回転域で点火時期一定のエイプ50用に対し、エイプ100用のCDIは回転数に応じて点火を時期制御し、低回転域と高回転域では点火時期を遅角させ、始動性の向上とエンジン保護性能を高めている制御になっているそうです。
エイプ100にエイプ50用CDIを流用するのが定番チューンのようであるため、エイプ50用のCDIを購入しました。
社外品の購入も考えましたが、古いものとはいえ、信頼性の高い純正の方が安心といえるでしょう。
また純正CDIを持っておくことで、社外品に交換したときの変化確認や、故障したときの予備としてもっておいて損はないと考えます。
CDIは壊れると高く付く!
CDIは以外なほど高価です。それほど複雑な部品ではないはずなのに純正新品では1万円ほど。ヤフオクの中古価格もピンキリでしたが、あまりに安い物は故障品である可能性が高く、かといって信頼できそうなものは非常に高額です。
そこそこ外観がキレイで、かつドナーの車体番号の確認可能し、なるべく新しい中古品を送料込み約3,000円で購入しました。
エイプのCDIを交換するには、シートと燃料タンクを外す必要があります。CDIの位置は燃料タンクの固定ボルトと同じフレームステーにラバーマウントされ、4Pと2Pのコネクタで接続されているだけです。
純正CDIに交換して試運転
交換後は、これまであった6,000rpmでのリミッターのような失火症状は消え去り、レブリミットの8,000rpmまでしっかりと吹き上がるようになりました。
とはいえ50ccのエンジンですから、絶対的な加速はたかがしれています。それでも、CDI交換前とは明らかに雲泥の加速力です。よほどCDIがお疲れだったのでしょう。
爆発力が強くなっているせいか、エンジンの突き上げ振動が増えて快適性は低下してしまいました。こればかりは単気筒エンジンの構造上仕方がありません。
CDIの交換で失火症状は直ったものの点火系全体の劣化が著しい
純正の中古CDIへの交換で、6,000rpmからの失火症状は完治したようです。
しかし、原因はCDIだけとは断定できません。偶然、チョークを引いたまま走行してしまったら、CDI交換後にもかかわらず再び6,000rpm以上で吹けない症状が再発しました。
燃調がこれ以上濃い方向へ進むと、やはり失火してしまうようです。また、しっかりと高回転まで回るものの、感覚的にはまだどこか不安定な燃焼状態に感じられます。
エイプ自体の生産年式が古いため、中古純正CDIも幾分劣化しているのかもしれません。
回転が上がらない失火症状が出た場合、真っ先に疑われるのはCDIです。とくに、今回のような特定回転数で必ず失火する症状の場合は、間違いなくCDIの故障と断定できます。
しかし不安定な失火症状の場合は、CDIのほかにもイグニッションコイルやプラグケーブルの劣化、プラグキャップの抵抗、振動による接触不良や配線劣化などが原因の場合もあります。
失火症状が出たら、さしあたり疑うべきはCDI。それから点火系のパーツをトータルで見直すことをおすすめします。
以上のような国内メーカー品なら、純正品ほどでないにせよ社外CDIでも安心して使えます。
そのほかAmazonでは安価な中国製の汎用品も販売されています。耐久性は半分程度に落ちたとしても、パワーアップ擦るのであれば選ぶ価値もありそうです(エイプに適合すると思わしきもののみを掲載しています)。
↓↓↓2020年5月、強化イグニッションコイルに交換しました。純正CDIのままでも良好な性能を発揮してくれます。失火症状は、CDIとイグニッションコイルの兼ね合いによって起こるようです。
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