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チョイ乗りが何故エンジンオイルを痛めるの? シビアコンディションの注意点

シビアコンディションとは、「シビア(厳しい)」+「コンディション(状態)」を組み合わせた言葉であり、悪条件下での使用や過走行など、車やバイクがメーカーの想定よりも負担が大きい使われ方をしている状態を指します。

意外なことに、短距離走行や低速走行も車にとっては非常に過酷な環境であり、いわゆる「チョイ乗り」もシビアコンディションに該当します。とはいえチョイ乗りが多かったとしても、エンジンオイルを通常よりも早めに交換すれば大きな問題にはなりません。

車やバイクの調子を保つには、シビアコンディションで車やバイクを走らせるのが問題なのではなく、シビアコンディションなりのメンテナンスができているかどうかが肝心です。

シビアコンディションについての概要と、チョイ乗りでエンジンオイルが劣化するメカニズムを解説します。

 

過走行だけじゃない! シビアコンディションの条件とは?

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シビアコンディションの条件は、自動車メーカーやバイクメーカーが定めており、どのメーカーもおおむね同じ基準となっています。

車とバイクでは、過走行に該当する走行距離が異なるものの、項目自体はほぼ同じです。ただし、バイクの方がメーカーごとの基準に細かな違いがある場合が多いようです。

自動車およびバイクのシビアコンディション項目

  • 過走行(車の場合は年間2万km以上・バイクの場合は半年で3,000km以上)
  • 頻繁な短距離走行(一回の走行距離が8km以下)
  • 長時間のアイドリング運転

走行距離の約30%以上が該当した場合の項目

  • 悪路走行(凹凸路・砂利道・未舗装路)
  • 頻繁な山道・登降坂路走行
  • 頻繁なエンジンの始動・停止
  • 頻繁な発進・停止の繰り返し
  • 過度な低速走行

この他にも、雪道走行や猛暑下での使用も車やバイクにとっては過酷な環境です。レース走行にいたってはシビアコンディションよりも入念なメンテナンスが必要になります。

車とバイクで過走行の基準となる距離に差があるのは、エンジン単体に大きな寿命差があるためでしょう。またバイクは車体の大きさや排気量で指定基準が変わる場合もあります。

シビアコンディションの何に気をつけるべきか

シビアコンディションのどれかひとつに当てはまるからといって、全体整備を短サイクルで行う必要はありません。車の使い方に応じて、重点的にメンテナンスする箇所をしっかり把握しておくことがシビアコンディションの車両管理には大切です。

シビアコンディション項目

負担がかかる箇所

過走行

車全体

頻繁な短距離走行

エンジンオイル

バッテリー

長時間のアイドリング運転

エンジンオイル

悪路走行

タイヤ

足回り

ブッシュ・ブーツ類

車体下の錆

各部ボルトの緩み

頻繁な山道・登降坂路走行

ブレーキシステム

(ブレーキパッド・ローター・フルードなど)

頻繁なエンジンの始動・停止

エンジンオイル

バッテリー

頻繁な発進・停止

クラッチ

タイヤ

ブレーキなど

過度な低速走行

エンジンオイル

 

【避けたいチョイ乗り】8km以下の短距離走行がエンジンを痛める

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もっともシビアコンディションの該当例が多いのは「短距離走行(チョイ乗り)」「頻繁なエンジンの始動と停止」「長時間のアイドリング」の3つと言えるでしょう。これらはエンジンオイルの劣化を促します。

短距離走行の基準は「走行距離8km以下」とされているものの、それより1kmでも多く走行すればシビアコンディションに該当しないというわけではありません

距離はあくまで目安であり、より厳密に管理するにはエンジンオイルの温度に着目する必要があります。

短距離走行のシビアコンディションは、チョイ乗りや、それにともなうエンジンの始動・停止、長時間のアイドリングなどエンジンオイルに混入する水分量の増加がもっとも大きな問題です。

エンジンオイルに水分が混じる原因として、よく覚えておきたいのは以下の2つです。

【水分がオイルに混ざる原因1】燃焼時の水分

ガソリンや軽油などの燃料が燃焼すると水が発生します。そのほとんどはマフラーから排出されますが、一部はピストンリングの隙間を抜けてエンジンオイルに混ざり込みます。

エンジンが温まり切らないうちはピストンとシリンダーの隙間が広いため、とくに水分がエンジンオイルに混ざり込みやすい状態です。

【水分がオイルに混ざる原因2】エンジン停止後の結露

エンジン停止後は、正常稼働温度以下であっても冷えていく過程でエンジン内部で結露が起こり、それによって生じた水滴がエンジン内に留まることになります。

これは室内でストーブを炊いた際に、外気との気温差で窓ガラスが結露するのと同じことがエンジン内で起こっているためです。気温差が大きいほど結露もしやすくなるため、冬場はエンジンオイルにとっても過酷な環境といえます。

チョイ乗りをするとエンジンオイルが劣化するメカニズム

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エンジンが完全に温まった状態であれば、エンジン内の水分は熱によって蒸発してしまいます。

一般使用におけるエンジンオイルの温度は80〜90℃程度と水が蒸発する温度ではありませんが、シリンダーに近い箇所は部分的には100℃を優に超えるため、エンジンが適正温度で稼働していれば、水分は水蒸気となって走行中にその多くがブローバイ配管を通って排出されます。

しかし、チョイ乗りで適正温度に達する前にエンジンを停止すると、燃焼で発生した水分と、結露で発生した水分がエンジン内部に湿気として溜まり続けることになります。

そのため中途半端にエンジンが温まる状態と冷える状態を繰り返す頻度が多いほど、エンジンオイルに混ざり込む水分量も多くなります。

水分で乳化したオイルは機能を果たせない

エンジンオイルに水分が混入すると性能が低下します。本来、水とオイルは混じりませんが、エンジン内で撹拌されることで水とオイルは混じり合い、白濁した乳化物質が生成されます。

乳化したオイルは、エンジンオイルとしての機能を果たせないため潤滑不良を起こし、エンジンに深刻なダメージを与えてしまう場合があります。これが、チョイ乗りがエンジンオイルを劣化させるメカニズムです。

ブローバイガスの水分がエンジンを壊す!ホース経路の見直しでオイルの乳化を防止 - エイプ@ログ

乳化したオイルは即交換

オイル自体はもちろん、オイルフィラーキャップ裏やオイルレベルゲージに白い濁りが確認された場合はエンジンオイルの即時交換が求められます。

過度な場合はオイルフィルター詰まりも懸念されるためフィルターも交換しましょう。加えて、エンジンオイルを交換するまでは余計な負荷をかけないように、なるべくエンジンを高回転まで回さないように気をつけることも大切です。

またチョイ乗りを繰り返すと、燃焼で発生水分がマフラーに溜まりやすくなるため、錆びによるマフラーの穴空きの原因となる場合もあります。マフラーに溜まった水はエンジンがしっかりと温まった状態で高速走行や空ぶかしをして、定期的に排出したいところです。

 

チョイ乗りが多い車のオイル交換サイクルは規定走行距離の半分

シビアコンディションの状態にあるエンジンのオイル交換サイクルは、規定走行距離(シビアコンディションでない場合)の半分程度とされています。

とはいえ数度チョイ乗りしたくらいでは、すぐにオイルの乳化現象などの症状は起きないため、過度な心配は不要です。

実際問題、チョイ乗りに該当する走行距離の目安は8km以下とされているものの、単純に時間や距離でエンジンオイルがシビアコンディションに該当するかどうかは判断できません

外気温によってもエンジンが温まるまでの時間は変わるため、夏場はチョイ乗りをしてもシビアコンディションにはなりにくく、寒い時期や寒冷地ほどエンジンオイルに水分が混じりやすい環境と言えます。

おおよそ水温計のメーターやインジケーターが適正温度状態になる前にエンジンを停止させるのがチョイ乗りに当たると思ってよいでしょう。それが頻繁に繰り返される乗り方をする場合は、まめにエンジンオイルの状態をチェックしておきたいところです。

ハイブリッドカーのオイル劣化はどう判断する?

ハイブリッドカーのオイルに関するシビアコンディションはやや特殊です。モーターがエンジンの補助としてしか働かないマイルドハイブリッドカーは通常のエンジン車と同じと思ってよいでしょう。

しかし、走行中にエンジンが停止することもあるトヨタ プリウスなどのフルハイブリッドカー(HV)やプラグインハイブリッドカー(PHEV)は、油温が上がりきらない状態で稼働することが多いためシビアコンディションに該当しやすい車です。

さらに言うなら、エンジン停止状態で走行することが多い街乗り主体の使い方の方がエンジンオイルにとっては過酷といえるでしょう。その一方で、絶対的な稼働時間は短いためエンジン稼働によるオイルへの負担は極めて小さくなります。

各メーカーではHVやPHEVのエンジンオイル交換サイクルを、普通の車と同じ走行距離に指定しており、シビアコンディションの走行距離も同じく半分です

原則としてメーカーの指定した走行距離に従うのがよいでしょう。一般的にHVのエンジンは高回転まで回すような使い方はしないため、HVだからといって過度な心配は不要と思われます。

 

シビアコンディションの対策法

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エンジンオイルをシビアコンディションに該当させないためには、チョイ乗りをしないのが根本的な解決方法です。加えて、エンジンシリンダー周りに付着するカーボン量も増えがちであるためチョイ乗りはエンジンによい車の使い方とは言えません。

エンジンフィーリングがなにより優先されるバイクやスポーツカーなどは、短距離移動をするくらいなら無理にでも用事をみつけて極力長時間走るようにしたいところです。できない場合は早めのオイル交換および点検で対応しましょう。

ある程度の距離をモーターだけで走行できるプラグインハイブリッドカーなら、短距離移動時はEVモードを選択してエンジンを一切始動させない方がエンジンオイルにとっては優しい使い方と言えます。

もちろん、エンジンが備わらない電気自動車や電動バイクは、エンジンオイルのシビアコンディション項目がないため短距離移動に最適な乗り物といえます。

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