スプロケットの丁数を下げればトルク重視になり、上げれば最高速重視になると言われています。もちろん、それは間違いありません。しかし、闇雲に歯数を上げ下げするだけではエンジン性能やスプロケットの効果を活かすことはできません。
スプロケットの組み合わせは、バイクの用途やエンジンチューニングに応じた選び分けが大切であり、とくにエンジンに余力がない原付はスプロケット選びが非常に重要です。
目標とする速度がわかればスプロケット選びがしやすくなります。そこで、各ギアごとの速度がわかるドライブスプロケットとドリブンスプロケットの組み合わせ表を作りました。
エイプのチューニングの参考にしていただければ幸いです。
目次
エイプ50(エイプ100)スプロケットギア比各ギア別速度表
以下の表は、エイプ50およびエイプ100におけるドライブスプロケット(エンジン側)とドリブンスプロケット(後輪側)の組み合わせによる、エンジン回転数8,000rpm時の各ギアでの速度を表しています。
ただし、実際の速度はタイヤの摩耗状態やメーターの誤差により微変動することは覚えておきましょう。
表の5速()内の数値はエイプ100の速度です。エイプ100は、5速ギアだけがエイプ50に比べてややロングになっており、その他のギア比は1次減速比を含めてエイプ50と同じです。
エイプスプロケット組み合わせ一覧表
※ 表内単位はkm/h(エンジン回転数8,000rpm時)
5速()内は、エイプ100の速度
エイプ50の純正スプロケットセットは46T×14T(5速8,000rpmで54km/h)
エイプ100の純正スプロケットセットは33T×15T(5速8,000rpmで83km/h)
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 12 T |
1速 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
20 |
21 |
2速 |
23 |
25 |
27 |
28 |
30 |
33 |
35 |
|
3速 |
32 |
33 |
36 |
38 |
40 |
44 |
47 |
|
4速 |
39 |
41 |
45 |
47 |
50 |
54 |
58 |
|
5速 |
46 (48) |
48 (50) |
53 (55) |
56 (58) |
59 (61) |
64 (67) |
68 (71) |
|
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 13 T |
1速 |
16 |
16 |
18 |
19 |
20 |
22 |
23 |
2速 |
25 |
27 |
29 |
31 |
32 |
35 |
38 |
|
3速 |
34 |
36 |
39 |
41 |
44 |
48 |
51 |
|
4速 |
42 |
44 |
49 |
51 |
54 |
59 |
63 |
|
5速 |
50 (52) |
52 (54) |
57 (59) |
60 (63) |
64 (66) |
69 (72) |
74 (77) |
|
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 14 T |
1速 |
17 |
17 |
19 |
20 |
21 |
23 |
25 |
2速 |
27 |
29 |
31 |
33 |
35 |
38 |
41 |
|
3速 |
37 |
38 |
42 |
44 |
47 |
51 |
55 |
|
4速 |
46 |
48 |
52 |
55 |
58 |
63 |
68 |
|
5速 |
54 (56) |
56 (58) |
62 (64) |
65 (67) |
68 (71) |
75 (78) |
79 (83) |
|
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 15 T |
1速 |
18 |
19 |
21 |
22 |
23 |
25 |
27 |
2速 |
29 |
31 |
34 |
35 |
37 |
41 |
43 |
|
3速 |
39 |
41 |
45 |
48 |
50 |
55 |
58 |
|
4速 |
49 |
51 |
56 |
59 |
62 |
68 |
72 |
|
5速 |
57 (60) |
60 (62) |
66 (69) |
69 (72) |
73 (76) |
80 (83) |
85 (89) |
|
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 16 T |
1速 |
19 |
20 |
22 |
23 |
24 |
27 |
28 |
2速 |
31 |
33 |
36 |
38 |
40 |
44 |
46 |
|
3速 |
42 |
44 |
48 |
51 |
54 |
59 |
62 |
|
4速 |
52 |
54 |
60 |
63 |
66 |
72 |
77 |
|
5速 |
61 (64) |
64 (67) |
70 (73) |
74 (77) |
78 (81) |
85 (89) |
91 (94) |
|
ドリブン |
46T |
44T |
40T |
38T |
36T |
33T |
31T |
|
ド ラ イ ブ 17 T |
1速 |
20 |
21 |
23 |
25 |
26 |
28 |
30 |
2速 |
33 |
35 |
38 |
40 |
42 |
46 |
49 |
|
3速 |
45 |
47 |
51 |
54 |
57 |
62 |
66 |
|
4速 |
55 |
58 |
64 |
67 |
71 |
77 |
82 |
|
5速 |
65 (68) |
68 (71) |
75 (78) |
79 (82) |
83 (86) |
91 (94) |
96 (100) |
スプロケット表の見方
上記の表の各数値は8,000rpm時の速度であるため、4,000rpm時の速度はちょうど半分になります。
つまり、エイプの平均的な巡航回転数である4,000pm時の速度は表の数値の1/2となり、ノーマル縦型エンジンの機械的な許容回転数である12,000rpm時の速度を知りたい場合は、表の数値を1.5倍にすれば、各ギアでの最高速度が求められます。
エイプに装着できるスプロケット
ドリブンスプロケットは、表以外の35Tや43Tなど1T刻みで販売されていますが、速度の変化量が少ないため割愛しています。
また、タイプDなどキャストホイール装着車はチェーンがホイールに干渉しない範囲で30T以下のドリブンスプロケットも装着可能です。表内ではエイプのスチールホイールに装着できるピンタイプのドリブンスプロケットのみを掲載しています。
また、エイプ50に17Tのドライブスプロケットを装着する場合は、エンジンの一部と干渉するため加工が必要です。
エイプのスプロケット選びにおける注意点
スプロケットは1T刻みで販売されていますが、どの組み合わせでも装着できるわけではありません。チェーンの長さやエンジン性能によって選べるスプロケットセットがある程度限定されます。エイプのスプロケット選びにおける注意点を解説します。
組み合わせによってはチェーンの変更が必要
純正チェーンのコマ数はエイプ50が110リンク、エイプ100は104リンクとなっているため、スプロケットセットを大きく変更する場合は、チェーンの変更も必要になります。
チェーンのコマ数を変更せずにスプロケットだけを交換する場合は、純正スプロケットセットの合計歯数を参考にしましょう。
- エイプ50:46T+14T=60T
- エイプ100:33T+15T=48T
純正ドライブスプロケットとドリブンスプロケットの歯数合計値の前後の組み合わせであれば、チェーンのコマ数を調整せずともチェーンアジャスターで補正できます。
エンジン性能や用途によって選べるスプロケットセットが決まる
エイプ100の場合
十分なトルクがあるエイプ100なら、チェーンのコマ数を調整すればどのスプロケットセットでも走行可能。ツーリング用途ならなるべくハイギヤードなスプロケットセットがおすすめです。トライアル用途でもない限り純正セット以下のローギヤードにする必要はないでしょう。
エイプ50の場合
排気量が小さなエイプ50は、ハイギヤードにしすぎるとタイヤトルクが減少して発進困難に陥ります。経験上、ノーマルエンジンでは33T×14Tあたりが実用上の限界のようです。
ノーマルエンジンに33T×16Tを組み合わせると、発進時のクラッチ操作に気を使うようになるうえ、エンジントルク不足により無風平地走行でも5速に入れると失速します。
ドライブスプロケット16Tへ交換【エイプ50で再挑戦】エンジン低回転化・燃費向上・静粛性アップに - エイプ@ログ
ボアアップ・チューニングエンジンの場合
50ccのボアアップエンジンは、当然エイプ50のギア比に準拠します。エイプ50のノーマルスプロケットセットでは60km/h巡航をするにはエンジン回転数が8,000rpmを超えることになるため、最高出力に応じたハイギヤードなスプロケットセットに変更してやることで乗りやすくなるうえ、燃費向上にも大きく寄与します。
ただしビックキャブレターなどに交換していると、ボアアップエンジンといえど過度なハイギヤード化では十分な発進トルクが得られない恐れがあります。ボアアップエンジンのスプロケットセットは、エイプ100と同じ33T×15Tを基準にチューン内容に応じて調整するのがよいでしょう。微調整の際は交換しやすいドライブスプロケットを交換すべきです。
420サイズ・ドライブスプロケット:Amazonリンク先で12T〜17Tまで選択購入できます。
420サイズ・ドリヴンスプロケット:Amazonリンク先で46T〜31Tまで選択購入できます。
↓ノーマルの開磁路式イグニッションコイルに対して、閉磁路式イグニッションコイルへの交換はスプロケットセットを見直さなければいけないほど、トルクアップに効果てきめんです。